松村かえるの「かえるのねどこ」

旧「美風庵だより」です。

2024年1月8日の日録。

なぜ本心を言わないのか?

羽田空港の衝突事故を巡り、炎上した日航機の貨物室に預けられたペット2匹が救出されなかったことについて、X(旧Twitter)で論争となっている。

日航機事故で2匹のペット犠牲に 「緊急時は仕方ない」「一緒に逃げて」SNSで論争 - ITmedia NEWS

この問題について私が気になったのは、生き物の命は等価であるという主張がなされる点です。

命は等価どころではありません。貴賤だって序列だってあります。

たとえば、お米です。稲穂が実り、一部は種籾として取り分けられ、のこりの籾は乾燥機にかけて長期保存に耐えるよう、遠赤外線や熱風で乾燥させます。その後、玄米になり、外側を削って精白し、お店で「白米」として売っているわけです。

種籾は水に漬けると発芽します。

水が冷たすぎると目覚めないので、ぬるま湯で発芽をうながします。

ここまで書けばおわかりのとおり、日ごろ食っているごはんは、命を召し上げてつくられています(パンもうどんも小麦の種子を挽いて命を召し上げています)。ほんとうなら強制的に水分を乾燥させず天日干し(自然乾燥)にして、翌年まけば芽が出て米が出来るものを、人間が食うために殺処分し利用しているわけです。

家畜の場合、牛の屠畜場を見学すれば、電気ショックで気絶させ、首の動脈を切って放血させる姿がみられます(見学者にうつ病などの発症事例が報告され、いまは畜産関係者であっても見学については制限されている由)。一気に血を放血させなければ血抜きが甘く、食肉としての商品価値が下がるからです。

家畜や農作物は、食用とするために日々、どこかで命を奪われています。

命は等価だと考えると、まったく手を出せず、水を飲んで塩をなめるくらいしか、できなくなります。

むろん、それでは生きていけません。栄養失調で死ぬでしょう。だから、むかしのひとは牛飲馬食をつつしみ、過度の殺生を禁じてきたわけです。これは、同じ集団でひとりでも多くの者を養っていくための知恵でもありました。いまの大食い番組なんて見たら、卒倒するでしょう。

生物の命は等価であると言い出したら食うものがなくなり、収拾がつかなくなります。

愛玩動物を可哀想とおもうあまり目が曇り、食物連鎖の頂点に居るひとに、自らその立場を下りろと言っているわけです。

笑うしかありません。

もっともらしいことを言おうとあれこれおおげさに言うから、おかしくなります。

「私が愛玩している動物は家族の一部であり、私の家族の命と等価だと考えている。ほかは関係ない。赤の他人の人命よりも、愛玩している動物の命のほうが大事に決まっている」と正直に、エゴ丸出しで言えばいいのです。

こう言えば、愛玩する動物にどこまでカネを注ぎこむかはあくまでも個人の問題だということになり、平等に扱う必要から周囲が解放されます。

子供料金を適用するのか動物料金を新設するのかはわかりませんが、べつに金持ちが愛玩する「お犬さま」「お猫さま」のために搭乗券を購入し、カゴごと客席に座らせればいいことです。とうぜん、脱出の際のシューターを破損するような材質のカゴを使わない、感染症対策ができている、といった条件はあろうかと思いますが、逆にいえばそれくらいの話です。ただ、鳴き声はさえぎるものがありませんから、客席ペット同伴可の便かどうかは明示して、あとはそれでも乗るかどうか、他の客の選択に任せるべきでしょう。

子供の泣き声ですら眠いときにはイラっと来るのに、さらにお犬さまやお猫さまからぎゃんぎゃんわめかれるような便は、私だったら選択しません。とはいえ気にならないひともいるでしょうし、客席ペット同伴可の便がどのくらい選ばれるかで、サービスとして定着させるかどうか、決めればよいことです。もしかすると新たな需要の掘り起こしになるかもしれません。

Twitterでフォローしているかたがリポストするので否応なく読みたくないのにこの件については読まざるをえない状況になっているのですが、しょうじき「それなら自分で運転して(または運転手を雇えるセレブになって)お犬さまやお猫さま連れて自家用車で旅に行けよ。飛行機も船も人命最優先でしか行動できないのだから、乗るな。諦めろ(こういう書きかたすると、時代遅れだのなんだの批判来るんでしょうね)」としか思えず、頭痛すらします。

ところで、私と数歳しか違わない或る家庭の奥さんが「保温ご飯は苦手。少し匂いがついたら棄てる」「子供には炊き立てを食わせている。(うちはあんたと違うので)保温ご飯なんてみっともないものを食う癖はつけたくない」と平気で言うので驚いたことがあります。

「食い物を粗末にしてはいけない。それは命を粗末に扱うことだ。だから好き嫌い言わず保温ご飯も食え」と、ほんらい子供に教育してもおかしくない世代に、すでにこういうのが混じっている時代です。

もうどうにかしようと考えることすら、無駄なのかもしれません。世も末ですね。

 

高良山に登る。

お百度参りは無理でも10回ならできるだろうシリーズ

1回目 2024年1月6日の日録。

2回目 2024年1月8日の日録。

3回目 2024年1月13日の日録。

4回目 2024年1月14日の日録。

5回目 2024年1月27日の日録。

6回目 2024年2月10日の日録。

7回目 2024年2月11日の日録。

8回目 2024年2月12日の日録。

9回目 2024年2月17日の日録。

10回目 2024年2月23日の日録。

ほんとうは3連休日参することも考えていたのですが、さすがに日常生活があります。7日は仕事のお付き合いを優先して休み、8日、高良山に登りました。

今回も方位と時刻を確認します。甘木だと9時半ごろから南西に「壬辛」、6日と同じ「淘洗珠玉」です。但し、今回は八門が死門です。

死門は「縁を切りたいやつと飲むのにもってこい。自然と向こうから離れていく。別れたい女だったら同衾しろ。ぜったい縁が切れる」と、むかし物騒な教わり方をした記憶があります。死門は、死と再生、縁切り、生まれ変わりを意味します。

積極的に使う場面はそうそうありませんが、他の時間帯はもっと悪く、仕方がありません。

やりうどん 久留米店 - 西鉄久留米/うどん | 食べログ

今回も6日同様、西鉄久留米駅1階のやりうどんで、朝昼兼用のごはんをいただきます。

肉うどん+ごぼう天+かしわおにぎりと、しっかりおなかに詰め込んでおきます。

今回は、北側の王子池から高良山に入り、ぐるりと一周してまた戻りました。

西鉄バス「吉井営業所」行を、追分バス停で下車します。

高良大社(高良玉垂宮)の鳥居があります。江戸時代にいまの社殿が造営されるまで、(いまのように久留米市街に向かず)社殿は北を向いていた、という話があります。そのころからの名残りで建てられたものでしょうか。

まず、高良御子神社(王子宮)・坂本神社に向かい、山中での無事を祈願します。

磐井溶鉄所の祠です。以前にも取り上げました。幕末に藩内の需要増に対応するためつくられた「たたら」に設置されていたものが、現在はこの神社の境内に移設されています。

夏の豪雨で王子池に流入した土砂の撤去も、だいぶ進んでいました。

奥の400段階段・古宝殿コースではなく、今回は妙見神社を訪問するため、東屋のところで右折します。九州オルレコースの一部となっているためか、ほかの登山路より気合い入れて整備されています。

妙見神社が見えてきました。

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久留米市山川町 高木社(妙見神社) - 松村かえるの「かえるのねどこ」

4年前に訪問したさいに崩れていた鳥居も補修され、あらたな扁額がかかっています。

ここは福岡県神社誌では高皇産霊神を祀る「高木社」とされています。もとは妙見菩薩を祀る妙見宮だったのを、廃仏毀釈で高皇産霊神を祀る高木社として届け出たものです。新たな名前が定着せず、結局、高皇産霊神を妙見菩薩として祀る妙見神社となっています。

この案内板を読んでも、廃仏毀釈という文化破壊活動がいかにすさまじいものであったかが、よくわかります。

石段をのぼり、妙見神社でも道中の安全と、ほんらいの目的である「沈静化」をお願いします。

少し引き返し、古宝殿城跡へ向かいます。案内のロープに沿って坂を上ると、400段階段の横に出ます。

12月5日の日録(2) - 松村かえるの「かえるのねどこ」

ここに来るのは2020年12月以来です。

西鉄久留米駅内のコンビニで買ったコーヒーを飲んで休憩していると、どこかからひとの声がします。てっきり石段をあがってきているのかと思ったら逆で、高良大社側から下山する家族連れでした。

休憩後、石仏と不動明王に手を合わせます。

高良大社の看板があるほうへ進んでいきます。

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12月5日の日録(2) - 松村かえるの「かえるのねどこ」

トタン屋根は、もともと石仏の屋根の一部だったようなのですが、風でそっくり返っています。すでに誰も補修するひとすら居ないようです。

道の横にある派手に壊れて、八足台と榊立てしか残っていない残骸も……。

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12月5日の日録(2) - 松村かえるの「かえるのねどこ」

4年前には、まだなんとか形をとどめていました。

高良大社だけ行ってさくっと帰るならこのまま登っていけば、三の鳥居の前に出ます。奥宮にさきにお参りしたいので、左折して北面コースに入ります。

やはりどこの洗い越しも水はありません。もともと冬場は水が少ないのですが、それにしても……。

2023/12/20 17:46
筑後川水系のダム貯水率が低下しているとして、国土交通省九州地方整備局は19日、渇水対策本部を設置した。同水系での設置は2019年6月以来。この日は渇水調整連絡会が開かれ、利水者ごとに使用するダムが決まっている運用を変え、各ダムの貯留状況などを考慮して効果的に使うことを決めた。
同水系は、流域一帯や福岡市、佐賀県東部などの水がめとなっている。主要6ダムの貯水率は18日現在、48・6%に低下している。同川流域の平均雨量は、平年と比べて9月が26・5%、10月が31・2%、11月が50・6%で、この3か月の合計雨量は1975年以降で最少今月も平年の約半分にとどまっているという。

筑後川水系のダム貯水率低下、渇水対策本部を設置…3か月合計雨量は1975年以降最少:地域ニュース : 読売新聞

6日、しょうぶ池の底を歩くことができ、洗い越しに流れがなく、放生池も溜め水ですっかり汚くなっていることを書いたところ、すでにこういうニュースが流れているのをLINEで教えてもらいました。。1975年だから、約50年でいちばん降っていないというわけです。これでは……。

状況の深刻さと、前述したペットの件をあれこれ思案しているうちに、王子宮コースとの交点に着きました。

椅子に座って休憩していると、年配のかたが3名、挨拶して北面コースを下っていかれました。

つつじ公園駐車場にたどり着きました。

今日は視界も明瞭で、遠くまでよく見えます。古処山・屛山・馬見山の「嘉穂アルプス」と、英彦山の位置を画像に書き込んでみました。甘木市街もよく見えます。

三郡山の左横に見えるのが、高良玉垂命が鵜葺草葺不合命(うがやふきあえず)から神器の継受をうけた四王寺山です。つまり元々はもっと北が勢力圏で、南進してこの地域を支配し、現在の地に祀られていることがわかります。

九州王朝説をとる研究家のかたでも、高良玉垂命は福岡県南部の土着勢力と思い込んでおられるかたがかなり居ます。そう考えてしまうと、本物の神武天皇(神日本磐余彦)から高良玉垂命こと開化天皇(稚日本根子彦)の系図が、見えにくくなってしまいます。

すでにつつじ公園の駐車場に向かう途中で気づいていたのですが、チェーンソーの音がずっとしています。エンジン音が響くわりには、木が倒れる音がしません。不思議におもっていると、つつじ公園の売店横で薪づくりが行われていました。すでに切った木材を、薪にする長さに切り揃える作業で、エンジンの音は、それのものでした。

エンジン音がやかましいためか、猫の姿はありません。どこかに逃げたのでしょう。

さみしく休憩所で、コーラを飲んで休憩します。

つつじ公園を横切り、奥宮へ向かいます。

のんびりしていると帰りが遅くなります。今回は晴れていることもあり、通常の登山路ではなく、横道でショートカットします。あまり使われている様子もなく通りにくい道ですが、10分はゆうに稼げます。

奥宮が見えてきました。

奥宮にお参りします。6日に来たときは、人心が離れれば神仏もまた消え去るしかなくなる。なんとかしたらどうだと偉そうに吠えてしまいましたが、その後の動きをみると、守ろう・抑え込もうとしているのがわかります。あまり書くとオカルトになるのでやめておきますが、さすがだなぁ、と思うことしきりです。

奥宮コースから、高良大社へ向かいます。途中ですれ違うひとの数が、6日とは段違いです。

もしかすると、境内にわんさと参拝者がいるのかもしれません。奥宮コースから旧参道に合流してひとに巻き込まれるのを警戒し、いったん尾根コース側に坂を登ります。

この坂をのぼると、社殿の裏山に出ます。建物の上から失礼ですが境内をのぞき込むと、1日に来たときより参拝者の列が長い……?

12月29日、1日、6日、ここ最近の3日間より、参拝者の列がいちばん長くできていました。列に並び、拝殿前に仮設された賽銭箱の前で、拝礼します。

いつも通販でお世話になっているお店と知人事務所に持参するため、授与所で木彫りを2ついただきました。そのあと6日も豚バラ串を買った出店で、豚バラ串を2本いただきます。

今日は大学稲荷神社側には向かいませんので、神籠石の片隅に座って豚バラ串をいただくわけにはいきません。つつじ園内の東屋めざして、坂を下りていきます。

豚バラ串をいただきます。イカ焼きとか梅が枝餅とかほかもあるのですが、塩コショウかけながら焼いた豚バラ串が手も汚れず、美味いのです。

試したことがないものは怖くて買えないというのもあるのですが(笑)

三の鳥居前まで来ました。

じつはここから、400段階段めがけて下山するつもりだったのですが、路駐が数台あって邪魔で、歩けません。仕方なく、吉見岳コースで下山し、途中から王子池に向かうことにします。

10分ほどで、最初にやってきた王子池にたどり着きました。

むかしはここ、無料のキャンプ場でした。いまはキャンプ場としては使わせていないようです。ただ、ところどころに椅子などの設備は残っています。

腰かけて、朝の残りのカフェオレと、チョコレートで休憩です。

元キャンプ場から高良御子神社の境内に直接下りることができます。

今日の無事を感謝して、再度お参りしました。

追分バス停に戻ってきました。ここから西鉄久留米駅までバスで戻りました。

甘木に帰着して、自転車置場で1枚撮影してみました。すじ雲が生き物のようにも見えます。

今回の経路を「スーパー地形」からも出力してみました。平均速度1.8km/hって、ちんたら歩いてますね……。