松村かえるの「かえるのねどこ」

旧「美風庵だより」です。

座談会という名の宴会(後)

この文章は以下の文章と関連があります。

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改名案募集と作例 - 松村かえるの「かえるのねどこ」

座談会という名の宴会(前) - 松村かえるの「かえるのねどこ」

2023.09.22に行った宴会の記録です。前編・後編にわけて掲載します。

4 選考過程

候補1「幸せだと100回自分に言い聞かせて街へ出る」

A「こんなの事前資料にないですけど」

D「本人の作品です」

A「ダメ。100回も自分に言い聞かせて暗示をかけないと幸せだと感じることができない悲惨な人生だという意味なんでしょうが、そう読めます?ぜんぜんですよ。むかしからごちゃごちゃ言うわりにセンスないよね。こうやって他人をメシで釣って考えさせるとこ含めて」

候補2「脱線人生下り坂行き最終列車」

D「これ、もともとは(B)さんの提案です。彼が提案した時点では「当駅では、人生脱線下り坂行き最終列車にお乗り換えできます」というものでした。これを私が縮めました」

A「車掌さんの車内放送じゃないですかそれ」

D「(B)さん電車通勤ですから。いちばん最初は「赤字ローカル線」の「終電」だったんです。さすがに車掌はちゃんと路線名告げて赤字ローカル線なんて案内はしないし、電車の終電は遅い時間まで走ってますから悲惨さが足りません。1日2本のディーゼル車とかじゃないとね。(B)さんに書き直してとLINE送ったら「じゃあ君がJR三江線・芸備線経由備後落合行、これ逃したら次は12時間後って書き直せばいいじゃないか。上山田線でも宗太郎越えでもいい」とか言い出して、実際に廃線になった路線名とか有名な秘境駅の名前出しちゃまずいでしょ、とは言ったんですけどね」

A「手を入れたら、車掌の車内放送ではなくなったんですね」

D「そうです。あと、人生脱線って鉄道の〇〇線に対応してなぞってるんですが、「人生脱線」と「脱線人生」なら「脱線人生」のほうが一般的なので、入れ替えています」

候補3「しあわせにさようなら」

A「これ、本人ガチ推しです」

D「(B)さん作です。元ネタはサガンの「悲しみよこんにちは」という作品だそうです」

A「だそうですって、知らんの?(名前くらい、の声)まぁいいや、どちらかというと、マルグリット・デュラスの「これでおしまい」を感じます。あいつと(B)さんはフランス映画大好きだから、こういうのは出てくるとおもった」

D「しかし、このタイトル、意味がとおりにくいんです。
本人的には「自分は幸福から見放された、縁がない。幸せとはお別れだ」という意味で使いたがってるんだけど、それ以外でも読めます。
女がイヤになった男に言う「笑ってお別れしたい」という意味でも読めます」

A「なるほどね!だからこの案はいまいち意味が伝わらなかったんだ!」

D「これが「しあわせ=とは=さようなら」とか「しあわせ=には=さようなら」だったら「笑ってお別れ」とは読めなくなる。もう少しこの案は、ひねったほうがいいかもしれません」

候補4「泣きながら出て行ったひとは」

D「これ、なんですか?この選考の趣旨に合わない気がするんですが」

A「これ、あいつ(本人を指さす)がはじめて中公の新人賞に応募した小説の題名なんですよ。すべてリセットしたいって話だったから、第一作の題名を持って来たんです」

D「そうなんですね」

A「長年つかってる松村美風という偽名もここからはじまります。この題名の元ネタは、聖書だか聖歌だかなんです」

本人「旧約聖書の「詩編」です」

涙と共に種を蒔く人は、喜びの歌と共に刈り入れる。種の袋を背負い、泣きながら出て行った人は、束ねた穂を背負い、喜びの歌をうたいながら帰ってくる。(詩編 126:5-6 新共同訳)

D「え?苦労は報われるすすんでやれって意味ですよね?これ、ぜんぜん哀しくないですよ?」

A「いちおう第一作から人生をやり直しってことで。それに聖書知らなかったら苦労したぶんリターンもでかい、なんて意味だとはわからない

D「泣きながら出て行ったんなら家でも追い出されたんだろうくらいしかかんがえませんものね。しかし、なんで詩編とか知ってたんですか?(と本人に質問)」

本人「中学校くらいから三浦綾子さん読みはじめて、三浦綾子さんの影響で旧約聖書読んでました」

D「中学のとき、どっかのお寺に通ってたんじゃなかったんでしたっけ?」

本人「高野山で修業した尼さんのところに月イチ行って説教きいてましたよ。素行不良で将来が心配になったらしい。お寺に通う行き帰りの路線バスで聖書読んでました」

D「うけるーーー。親にお寺かよわされて、聖書?」

候補5「破綻人生 転落」

A「(B)さんの提案。「金融腐蝕列島」とか「日本以外全部沈没」とか、ああいう漢字だらけをリズム感だけで読ませるやつ」

D「この「破綻人生」というのが、ほんらいのタイトルなんでしょうね。そのあとの「転落」とか「嘲笑」とか「どろまみれ」というのが、サブタイトル」

A「ただ、単行本化するならこういうタイトルはあり得るんだろうけど、本なんて死んでも声かからないし、やはり、どこか全体に冷たすぎる感じがします」

D「却下ですか」

候補6「あとがない男」

A「これは私の提案となってますが、本人作です。私が提案した時点では「もう人生のあとがない男」でした。「もう人生の」を本人が削除して、別物になりました。これと最後まで悩んだのが「人生を投了した男」

D「削って短くなったぶん、意味にひろがりがでてきます」

A「人生のあとがない理由がいろいろ想像できますからね。おカネかもしれないし、アルツハイマーかもしれないし、ガンかもしれない。これは最終選考に残しましょう」

D「でもこれ「人生を投了した男」のほうが良くないですか?これが候補なら一番に推すな」

A「bingとかgoogleとか検索エンジンによっては「人生」「投了」ってやると「死にたい」「自殺はアリですか?」って記事がやたら引っかかるんですよ(笑)なかにはyahoo知恵袋で「人生投了したいです。こんな私は負け組ですか?」の質問に「最後にひと暴れしちゃえ!」なんて、テロの扇動してる回答があったりとかね。さすがに一線踏み越えちゃうんで自主規制です」

D「待って。ちょっと変えて「人生投了しちゃうかも😢。これって負けですか?」っていいじゃないですか。長いけど」

(「だから人生の投了がやばいんだって」の声)

候補7「嘘つけないから言うね。君よりおカネが好き」

A「これ、どこから出てきたんですか。ぜったい男のセンスじゃないんだけど」

D「最近あれ(と本人を指さす)が仲良くしている「師匠」の作品です」

A「歌の歌詞?」

D「はい。その師匠の推すグループの曲(「君のこと好きなのバレてます!?」)に「嘘つけないから言うね。好き」という歌詞があって、そこに「君よりおカネが」を師匠みずから挿入したそうです」

A「ここで言う「君」って読者さんのことだから「読んでくれているあなたより私はおカネを大事にする拝金主義者」で「私は正直者なんで嘘は無理」でしょ。まんまあいつの人生じゃないですか。いいかもしれない」

D「これも最終選考に残しましょう」

 

5 選考途中結果

A「いまのところ保留したのは、
(1)「しあわせにさようなら」(を修正した「しあわせ=とは(orには)=さようなら」)
(2)「泣きながら出て行ったひとは」
(3)「あとがない男」(次点「人生を投了した男」、次点「人生投了しちゃうかも😢。これって負けですか?」)
(4)「嘘つけないから言うね。君よりおカネが好き」
ですね」

D「「しあわせ から さようなら」もあり得るかもしれません。本人含め、もう少し議論しましょう」

A「ところで本人はどうですか」

本人「「かえるのねどこ」とどれも大差ないとおもいます。
「あゝ無情」とか
「家なき子」とか
「沈黙」とか
「欲望という名の電車」とか
「皇帝のいない八月」とか、
このブログは中身がスカスカなんで、タイトルだけで読者が50000人超えるようなのをかんがえてもらわないと。これじゃ今日のお代(=おごり代)がむだになる

(「は?」「呼びつけておいてなんだと?」と声があがる)

(続かないかも)