《響の森》Vol.50「傑出のブラームス」 | 東京文化会館
《響の森》Vol.50「傑出のブラームス」
日時:2022年7月29日(金)19:00開演(18:15開場)
会場:東京文化会館 大ホール
[出演]
指揮:秋山和慶
ヴァイオリン:成田達輝
チェロ:笹沼樹
管弦楽:東京都交響楽団
[曲目]
ブラームス:
ヴァイオリンとチェロのための二重協奏曲 イ短調 Op.102
交響曲第1番 ハ短調 Op.68[ソリストによるアンコール]
ヨハン・ハルヴォルセン:
ヘンデルの主題によるパッサカリア
ひさしぶりの東京文化会館です。
前回は朝比奈隆さん存命中(たぶん新日本フィル?)でしたから、最低でも20年ぶりです。
舞台がよく見渡せる3階席を選びました。
この日の一曲目は、ブラームス のダブルコンチェルトでした。
九州交響楽団 第385回定期演奏会 名匠秋山和慶と贈る フィンランドの音風景 - 美風庵だより
成田さんのヴァイオリンは2021年3月に聴いています。1992年生まれとおもえぬ内省的な音(音量とリズムを聞くと若手とわかるが、音色だけ取り出したらたぶん老境の巨匠と言われても、わかりません)に驚いたのですが、今回はもっと渋い、ブラームスのダブルコンチェルトです。
そしてダブルコンチェルトですから彼だけではなく、チェロが加わります。
ヴァイオリンとチェロが、ライバルとして仲間として元気にぶつかりあうのを、秋山さんの指揮が破綻なく曲としてまとめあげていきます。伸縮自在で表現も自由な2人の世界を、理解し先取りして曲としていく姿はさすがで、過去に聴いた実演・録音をつうじても、なかなかの演奏でした。演奏記録用の天井マイクしかなかったのが残念でしかたがありません。このメンバーでどこかのレコード会社がセッション録音を組んでくれないものかとおもいますが、さすがにコロナ不況のさなか、難しいかもしれません。
2021年3月に聴いたシベリウスのヴァイオリン協奏曲のときと違い、この曲、ダブルコンチェルトなのでチェロが加わります。というより、チェロ協奏曲+ヴァイオリンソロといった風体の曲なので、個性のぶつかり合いを優先するか、むかし朝比奈さんがやったときのように、指揮者がすべてを率先するかで、ずいぶん聴こえかたが変わってきます。
とうぜん秋山さんはソリストを優先し伴奏に徹しますから、ひとつの曲なのにイメージがくるくるとかわっていきます。ひとつの曲としてまとまってはいるものの、客の側も理解するための集中力が必要で、ここがこの演奏の評価のわかれるところでしょう。
私は、ダブルコンチェルトのようなコチコチのド名曲で、まさかいい意味での格闘技戦がありうるとはおもいもせず(だいたいどっちかが相手にあわせる)、新鮮な味わいを感じていましたが、隣の老齢のかたは、途中でくたびれた様子でした。
演奏時間がとくべつ長いということもなく、おそらく35分ほどだったとおもいます。しかし、1時間か2時間くらい、どっぷりと音を聴いた気分です。ブルックナーやマーラーより疲れたかもしれません(笑)
アンコールは、ヨハン・ハルヴォルセンの「ヘンデルの主題によるパッサカリア」で、ダブルコンチェルトとはうってかわって、2人だけの軽妙な掛け合いがひろがります。
やっぱりブラームスのド名曲となると、取っ組み合う力の入りかたが違うのでしょうか。
後半は、安定の交響曲第1番です。
九響、中部フィル、東響ととなんども聴きましたが、この日も素晴らしい演奏でした。
そして、秋山さん自身のスタイルの変化というか、堅固な構成のなかで燃える演奏だったのが、堅固な構成より情動が先にたつよう、変化してきています。これが老境に至ったということなのか、進化していくということなのか、どう判断すべきかはわかりません。ただ、さらに面白くなってきたことはたしかです。
関西の音楽大学オーケストラ・フェスティバル (@kansaiondaifes) / Twitter
8月はお休みして、次回は9月19日の京都コンサートホールかな?とおもっていたのですが、
弦楽三重奏の演奏会 Trio Rizzle(トリオ・リズル) – ぶらあぼONLINEコンサート検索 | クラシック音楽情報ポータル
弦楽三重奏の演奏会 Trio Rizzle
公演日
2022年8月22日(月)
開演時間
18:30
会場
日本福音ルーテル久留米教会
出演者
毛利文香vn 田原綾子va 笹沼樹vc
曲目
ベートーヴェン:弦楽三重奏のためのセレナード ニ長調 op.8/ペンデレツキ:弦楽三重奏曲/フランセ:弦楽三重奏曲/ドホナーニ:弦楽三重奏曲 ハ長調 op.10「セレナード」
というのがあるようです。しかし、曲目がまぁ、バラエティに富んでいるというか、てんこ盛りというか……。