松村かえるの「かえるのねどこ」

旧「美風庵だより」です。

2024年3月5日の日録。

或る中国人とのやりとり。

私が平日常勤している事業所は形式的には子会社という別法人ですが、実態としては親組織の一部に組み入れられています。

或る中国籍の従業員のかたが書類を持参されました。我々としては受領し親組織に送るだけで、翌月以降用の継続申請書は、親組織が直接本人に郵送します。とうぜんわかっているものと思っていたら、どうしても新しい申請書が欲しいと言い張ります。ここにあるのは事前に本人情報を印字してサインするだけになった申請書ではなく、すべて空欄のまっさらな申請書です。これは渡せないと言うと、わめきます。

ところがどんなに大声でわめかれても、言葉がわからないので、怒っていること以外はなにもわかりません。周囲の若い子がオタオタして、google翻訳や、事前にQAとして親組織から配布された中国語の例文(「手続き受領後、次回分はあなたの寮に郵送します」という文章)を指さしたりしても、止まりません。

どこかに電話を掛けはじめ、べつの階から元中国籍でいま日本籍のかたがやってきました。「どうして新しい書類をくれないのかと彼女が言っている」と言います。日本語で「ここでスキャンして(親組織)に送付し、(親組織)でチェック後に、寮に今回までの結果が反映された次回分の書類が郵送される仕組み。ここにあるのは、皆さんが紛失したときにぜんぶ手書きするための白紙しかないから、予備として渡すものではない」旨を伝えると、上手に中国語で彼女に伝えてくれました。

さっきまでわめいていたのがウソのように、べっこりと低頭します。

このやりとりが終わってから、事務室が騒然とします。くちのわるい者は「日本に来てるんだから最低限のやりとりができるくらい日本語覚えてこい!」と不満をくちにしています。

それも一理あるでしょうが、そもそもの掛け違いの原因は、ここはあくまでも書類を受領するだけの場であるという、我々のスタイルをしっかり理解させていなかったことにあります。

彼女のように、国家や企業に不信感MAXで被害妄想すら持っているかたは、たまたま今回初めて制度を利用し、翌月以降どうなるかを理解していないので「なんだと!チョーシのいいこと書いておいて最初の月で打ち切りか!」となります。本国でどういう扱いを受けてきたのかいちいちヒアリングはしませんが、よほどいい加減だったのでしょう。

この根底にあるのは「他人(国家、企業、雇い主)は信用ならない」ものであり、「くれと言ってくれないのはだますつもりだからだ。次回以降は泣き寝入りさせるつもりだからだ」という、圧倒的不信感です。

日本人同士ならカラクリを説明すればすぐ納得もしてもらえるのでしょうが、不信感や被害妄想を拭い去って説得できるほどの中国語力を、私含め現地従業員誰も持ち合わせていないというのが、いちばんの問題だったかもしれません。

勉強になりました。

私たちはまだ国家や組織から裏切られるのではないか、という疑惑をもって日々を過ごす状況ではありませんが、いずれこの中国人のように、それが当たり前で、とにかく我が身を守ることが最優先と考えるの時代がくるのかもしれません。そういう時代にはなってほしくありませんが。

 

5日の記録。

お昼は今日も事業所のみなさんと配達弁当でした。

とうめん月4回、配達弁当を頼むことにしました。

私は修行だと思って毎日お昼にお茶漬けをいただいていたのですが、倉庫の片隅でお茶漬けをかきこみ、12:55までいびきをかいて寝ているというのは見た目がよくないとのお達し。

しかも堂々と日記にごはんしか入っていないタッパーウェアを掲載されるのは「そんな薄給なの?( 一一)」と思われるそうで、よろしくないとのこと。

昼の貧乏メシを掲載すると、意外とあわれみをもって翌日のアクセス数が増えた(googleアドセンスをポチってお布施してくれるひとも居た)のに……( ノД`)ざんねん。