松村かえるの「かえるのねどこ」

旧「美風庵だより」です。

北九州市門司区白野江 苔縄地蔵


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苔縄地蔵(由来)
苔縄重雄君は16才の郵便配達員であった。大正13年8月21日門司区大積山中にて集配中に、前夜来の豪雨によって、どこが道や川や分からぬ中をかきわけ進むうちに石橋を踏み外し濁流に転落した。郵便物を流してはならぬと集配用鞄を水上に掲げ、残る片手で川岸の笹を掴んで大声で助けを求めた。
その声を聞きつけた岩本祐之さんが手を差しのべると、「これを先に」と集配用鞄を手渡した。岩本さんは「すぐに助けに来るから」と鞄を安全な場所に移し、苔縄君の元へ戻ると苔縄君の姿は無く帽子が遥か川下に浮いて流れていた。直ちに村人総出で捜したが、数時間後、大積海岸近くで発見された。その顔は、責任を果した安堵の笑みを浮かべていたと言う。
苔縄地蔵は、当時の村人によって大正14年3月に建てられました。
令和元年

職務中に殉職した16歳の勤労少年を供養するお地蔵さんにしては、竹トンボとか鯉のぼりとかお人形とか、少し対象年齢がちがう気もしますが、お堂も真新しくお地蔵さんも立派、そしてなんといっても清掃が行きとどき衣装もぴかぴかです。

大正14年といえば1925年ですから、ほぼ100年間、地元の皆さんによる奉仕がおこなわれているのは奇跡というほかなく、素晴らしいことだと感動してしまいます。

(2023.01.06訪問)
 
訪問当日の様子はこちらに掲載しています。

2023年1月6日の日録 - 美風庵だより