松村かえるの「かえるのねどこ」

旧「美風庵だより」です。

福津市舎利蔵 舎利山勝宝寺跡(福智神社?・熊野神社?)


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まず、戦前の地図をご覧ください。

今昔マップ on the web:時系列地形図閲覧サイト|埼玉大学教育学部 谷謙二(人文地理学研究室)

赤丸で示したところに鳥居マークがあります。この周辺の小字は「水上」です。

619 無格社 福智神社 宗像郡上西郷村大字舎利蔵字水上
620 無格社 熊野神社 宗像郡上西郷村大字舎利蔵字水上

福岡県神社誌では、無格社が2社あることになっています。

現地を訪問すると、なにやらお寺っぽい建物がみえます。

この地は、舎利山勝宝寺という寺があり、養老2年(718)に名僧行基が舎利蔵の地名の源にもなった仏舎利を安置して開基したといわれている。当時は子院を15坊もかかえる大寺であったというが、今は廃絶して観音堂と小庵2宇を残すのみである。
この境内には、福間町の町木であり、また福岡県の天然記念物にも指定(昭和43年)されている「ナギの木」が5本そびえ立っている。鐘楼に一番近い木が雌株で他は雄株という雌雄異株の木である。この5本の「ナギの木」はいずれもインドから移植されたと伝えられ、樹齢は推定800年と言われている。葉は長楕円形で竹の葉のように平行脈を有し、引っ張ってもなかなか切れない強靭なもので「力葉」の別名もある。昔の人は災難除けのお守りにしたという。
この地境内には菩提樹、カエデ等の大木が茂り、西側には「柞の森」と言われるほど多数の柞の木が自生している。またカシ、シイ、ムク、タブ等の巨木が自然林を形成し、野鳥たちにとっての絶好の生息地となっている。

現地案内板の横にそびえるナギの木を、広角で撮影してみました。

けっして樹勢はよくなく、かなり傷んでいる印象です。

観音堂です。

観音堂のとなりにも、べつの観音さまのお堂があります。

納骨堂があり、いまもこの地域の寺として機能しているようです

観音堂の裏手に石段があり、祠がいくつか並んでいます。

石段の踏面が傷んでいるため登りませんでしたが、祠が3つみえます。福岡県神社誌にいう無格社2社とは、どうやらこれのことのようです。記載があるのは2社ですが、祭神をながめれば(保食神)(イザナミ+事解男)(菅公)と分けることが可能です。資料がごっちゃになっているのかもしれません。

また、林道をはさんだ反対側にも、立派なお宮があります。

さすがに扉をこじあけてなかを拝謁するわけにもいかず、手をあわせて立ち去りました。いずれにしても、ここが神仏習合の寺&神社であったことは、たしかなようです。

全体的にきちんと補修され、しっかり寺を維持していこうという地域(檀家)の意思をかんじます。鐘楼も立派ですし、ちゃんと鐘をつくことができます。

おそらくはお地蔵様でしょうが、顔が削られてしまっています。

舎利蔵公民館側から寺にむかう林道の入口にも、守衛さん代わりの石仏さんが祀られていました。つまり、むかしはここから寺だったわけで、15の僧坊をもつ大寺という記載も、現在の姿からは想像できませんが、間違ってはいないようです。

じつに美しい景色です。場所がすごいのでなかなか行けませんが、紅葉の時期にハイキングするのも、楽しいかもしれません。

いずれ資料をさがして、再度、このなかのどれが福智社で、どれが熊野社なのか、調べたいとおもいます。

福岡県神社誌:下巻385頁
[社名(御祭神)]福智神社(保食神)
[社格]無格社
[住所]宗像郡上西郷村大字舎利蔵字水上
[由緒]記載なし。
[境内社(御祭神)]記載なし。
(2022.09.12訪問)

福岡県神社誌:下巻385頁
[社名(御祭神)]熊野神社(伊弉冊尊、高解男命、菅原神)
[社格]無格社
[住所]宗像郡上西郷村大字舎利蔵字水上
[由緒]記載なし。
[境内社(御祭神)]記載なし。
(2022.09.12訪問)

訪問当日の様子はこちらに掲載しています。

9月12日の日録 - 美風庵だより