松村かえるの「かえるのねどこ」

旧「美風庵だより」です。

2023年2月19日の日録

過疎化は悪いのか?

少子高齢化はよくないといわれます。過疎対策をなんとかしろという話もおおく聞きます。

1人の女性が生涯に産むと見込まれる子どもの数を示す合計特殊出生率(概数)で、2020年の島根県の数字は、全国で2番目に高い1・69(前年比0・01ポイント増)だった。一方、出生数は5年連続で過去最低を記録した。厚生労働省が4日、人口動態統計で発表した。
県子ども・子育て支援課によると、出生率の全国値は1・34(同0・02ポイント減)で、島根県は前年の3位から順位を一つあげた。1位は沖縄県の1・86で、3位は宮崎県の1・68。

出生率全国2位1・69 出生率は5年連続最低:朝日新聞デジタル (asahi.com)

多少でも新聞などを読んでいるかたがすぐ引き合いに出すのが島根県の事例です。

NHKでもやっていたそうで、それを引き合いに出し「おまえらもっと勉強せれ」くらいの勢いで説教くらいます。立候補予定者の顔もあるので黙ってききますが、NHKってホント上っ面しかやらないので、なにやら魔法使いがこの世に居るかのように誤認させておりいい迷惑です。

これ、そう簡単な話ではありません。

 

https://www.pref.shimane.lg.jp/medical/fukushi/kourei/kourei_sien/toukei/agerate.data/R3koureikaritu.pdf

島根県:高齢化率(トップ / 医療・福祉 / 福祉 / 高齢者福祉 / 高齢者の介護や支援【一般向け】 / 統計情報) (shimane.lg.jp)

よそより早い時期から仕事を求めて若者が出ていき、高齢化率がどんどん上昇する「嵐の時期」を、かの地はすでに経験しています。ながらく高齢化率は全国1位でした。その嵐がおさまってきた結果、相対的に老人福祉にかける負担が減り、住宅政策・子育て・雇用政策にカネが割けるようになったのです。高齢化率の全国順位が下がるのと、出生率の順位が上がるのが相関という点にご注意ください。

むろん、嵐の時期に黙って指をくわえてオロオロしていなかった行政・政治の優秀さはあります。目の前の嵐をやり過ごしつつも、先を見すえていたからこそ、出生率が改善もするのです。

我が身を振り返ってみましょう。選挙区は高齢化率県内トップの現状です。いまはまず嵐が過ぎ去るのを耐えるしかありません。残念ながら地方は国と違いジャンジャンおカネを刷って刷って刷りまくるなんて芸当はできませんから、どうしても物事には順序があります。

焼け野原をどう復興するかがいくら重要でも、まずは目の前の延焼をなんとかするほうが最優先。来年の事ですら鬼が笑います。

NHK(まぁ、マスゴミ全般かもしれませんが)ってホント上っ面でテキトーに良い話だけするから、お話になりません。偏向報道機関を維持するために受信料むしられているかとおもうと、ホント腹立ちますが、これはまた別のお話ということで。

 

「上撰 さけパック生もと純米 1.8L」

上撰 さけパック生酛純米 1.8L|菊正宗酒造~灘から世界へ。~

本醸造パック 1.8L|菊正宗酒造~辛口ひとすじ~

やっと「上撰 さけパック生もと純米 1.8L」を開封することができました。選挙でひとと話す機会が増えてから、断酒解禁どころが日々飲んでます。まぁ、人生終わりもみえてるから、いまさら健康がどうという話でもないんですけどね。

青いほうが、今回初開封の純米酒、黄色いほうが先日買った本醸造酒です。

日本酒度5度というのも同じ。カロリーも同じ。違いは、醸造アルコール(甲類焼酎)添加か、精米歩合が70%か73%か、という点。純米のほうが、3%精米歩合が低いのです。

味は、基本的に同じです。本醸造のほうが、醸造アルコール添加なぶん、味や旨みは薄めです。そして、食道をぬけて胃にきた辺りで、アルコールがガッ!ときます。胃が熱くなります。純米は、同じ傾向だけれど、味と旨みがつよく、なめらかで優しく感じます。同傾向でもパンチの利き具合が違うのと、利きはじめるタイミングがずれているので、ぜんぜん違う印象を持つかたもいるかもしれません。

どちらも酸味があって味がしっかりしているのに、どこかふんわりした水のような感じもあって、下手な酒蔵の純米酒にある苦みやくどさがありません。本醸造は酵母が死ぬまえにアル添して発酵を止め珪藻土濾過しますからこの味わいもわかるのですが、純米で低精白でこれは、すごいです。

そして、じつは菊正宗さんの希望小売価格は税抜1,949円で同じです。私が買ったあんくるふじや(地元の酒販チェーン)での売値も両方1,480円でしたので、菊正宗さん的には、本醸造と純米を「どちらでもお好みでどうぞ、基本は同じだけど、飲み比べると違いがわかるよ?」という方針で売っているのがわかります。

やっぱり大手はあなどれませんね……。素晴らしい。

 

年末に潰した法人の「固定資産税償却資産申告書」の催告が来た

2022年12月21日の日録 - 美風庵だより

市役所から、個人事務所の「固定資産税償却資産申告が来ていない」と催告の書類が届きました。

清算結了登記終わって法人異動届と閉鎖事項全部証明書を昨年中に郵送していたのですが、催告です。

まぁ、償却資産申告書の発送準備をはじめた時点で法人の設立・廃業はチェックしているでしょうが、じっさいに郵送するまでのタイムラグがあるのはわかりきったことです。年末だし、時期的にチェックできるわけがない期間なのはわかります。

催告書のコピーに国税庁の法人番号公表サイトで「閉鎖済」となっている旨の画面印刷をつけて「2023年1月1日時点で法人は存在しないから必要であれば閉鎖事項全部証明書を送るので連絡くれ」と書いて、返送しておきました。

12月13日に申請して14日に清算結了登記してますから、法人は存在しないし、私は代表社員でも清算人でもなくなっています。

発送後のズレって、調べないもんなんでしょうね。

 

きれいごとだけが伝説となる危険性。

酒の話がどこで拡散しているのか、音信不通だったかたからメールや電話が来るので調子に乗っております。

若いころ、純米酒活動家(運動家)のアジテート(いまとなってはこうとしか言いようがない)にだまされていました。お恥ずかしいかぎりです。

どうも彼らが言うほどきれいな世界ではないことに気づいたのは、まったく酒と関係ない話題を追っているときでした。やはり当事者の吹聴ほどアテにならないものはない(美談以外はぜんぶバッサリ!)と、つくづく感じたものです。

鈴木商店の台湾進出について資料を読んでいて「日本人がこれだけ渡っていて、じゃあ現地でなにを飲んでいたのか?焼酎の水割りか?」とふとおもったのがきっかけでした。暖かい気候で、現地で日本酒伝統の生もと造りなんてできないのはわかっていますから(ざっくり言うと、そもそも生もと造りが困難なエリアで焼酎が普及しています)、内地から輸入するしかありません。

いろいろ資料をあさるうち「輸送中に変敗したものは再製清酒とした」という話をみつけます。再製清酒ってなに?

混成酒とは醸造酒や蒸留酒を原料とし,これらに香料や草根木皮などの生薬(しようやく),色素などを加えてつくった酒で,酒を原料として別な酒をつくるという意味で再製酒ともいう。ベースとして使用される酒としては,アルコール,ブランデー,ラム,ウォッカ,キルシュ,ブドウ酒,ジン,ウィスキー,みりん,焼酎などがあり,草根木皮,果実,果皮,種子,花蕾(からい)などを加え,果汁,はちみつ,砂糖,有機酸などで味をつけ,天然色素または合成色素で着色することが多い。

再製酒(さいせいしゅ)とは? 意味や使い方 - コトバンク

どうやら日本酒に手を入れ直したもののようですが、百科事典でも「みりん、焼酎『など』」とあり、日本酒が対象であったとは明記されていません。

日本にビール産業が発祥したころ、日本酒業界には『酒造伝書茶仕立覚』なる伝書が……。これは、いわゆる酒直し(当時の酒は劣化が早く、薬草などを調合することで酒を直すことも多かった)のマニュアルなのだが、興味深いのは、調合によってブランド酒へと“直す”、言い方を変えれば“ニセモノ”の造り方まで記載されているという点。

近代化の大波〜伊丹酒の衰退(明治〜大正) | 剣菱の歩み | 剣菱酒造株式会社

さすがに中途半端だと気持ち悪いのでいろいろ漁っていくと、この「再製清酒」と「酒直し」が同じことを違う立場で呼んでいることに気づきます。

1907年には8名の日本人業者が個人の酒造免許を保有していた。その多くは本格的な醸造ではなく再製清酒であり、1910年頃の台湾中部では再蒸留して臭気を除いた糖蜜酒を使用していた。

台湾の日本酒 - Wikipedia

wikiにしっかりまとまっているので引用させていただくと、要は内地から輸入する過程で劣化した酒にアルコールを添加して「直し」、売っていたわけです。

このような災禍の恐れのない醸造環境のことを安全醸造といい、これは酒造りそのものが腐造と隣り合わせだった昭和時代中期まで、醸造業における重要な概念となる

1904年(明治37年)には大蔵省の管轄下に国立醸造試験所(現・酒類総合研究所)が設立され、1909年(明治42年)には同試験所で山廃もとが開発され、翌1910年(明治43年)には速醸もとが考案された。1907年(明治40年)に日本醸造協会が主催する第1回全国清酒品評会が、1911年(明治44年)には国立醸造試験所によって第1回全国新酒鑑評会が開催された。醸造試験所では酵母やカビ(麹菌など)の研究が重要であると掲げられ、銘醸地とされる灘・伏見・広島などの酒造場の酒母から、優良な酵母の分離、実用化が試みられた。その結果が優秀と評価された酵母を、1906年(明治39年)に設立された醸造協会が純粋培養し、全国の酒造場に頒布するという仕組みも整えられていった。

日本酒の歴史 - Wikipedia

1930年(昭和5年)ごろに登場した、精米機の構造上の一種。元来は酒造用に利用されていたが、現在は食用米用にも利用されている。 

縦型精米機 - Wikipedia

どうしても「クラフトマンシップ」だの「自然」だの「天然」だのと、消費者ウケする言葉が並びがちです。それを飯のタネに「伝統にかえれ!」とアジる連中も居ますが、じっさいのところ、酒は科学なのです。

安全醸造(言い換えるなら安定供給)をめざし、明治から戦前にかけて、科学として取り組み、様々な道具を開発したかたがいて、米の品種改良にもずっと取り組まれてこられたからいまがあるわけで、いったいどの時代の伝統に帰るのでしょうか?

再製清酒といった過去のやんちゃ話はマイナスイメージにしかならないため、醸造家が積極的に言うわけもなく、国税庁も酒の売れ行きは税収に直結するので言うわけもなく、「こうみられたい」「こうおもわれたい」と発信者が主張する、漠然と英雄譚というか美化された歴史だけが語られていく……。

それは伝統ではありません。

創作です。

神話です。

嘘です。

ひさしぶりに純米酒活動家のホームページとブログをながめて、あいかわらずご提供いただいた酒でうまそうなもん食ってんなぁ、とおもうと腹がたってしまい、言葉が過激になりました。

いけませんね。

しかし。よくよくかんがえてみると、闇にいっさい目をつむり(私ふくめ)余計なことをほじくり返すやつを攻撃(論破?)し、宣伝されたがっている醸造家に肩入れしていれば「ごはんに困ることはない」わけで、人生、完全に間違いましたね(*´∀`)

2008年からまるごと日記ぜんぶ削除して「転向」するか……(もう遅いけど)。