松村かえるの「かえるのねどこ」

旧「美風庵だより」です。

2022年12月21日の日録

万年筆のお話。

まだ高校生や大学生のころ、新潮社中央公論社をはじめとする作家の新人賞に応募していた時代があります。

出来上がった小説の(原稿用紙換算での)枚数をかぞえ、枚数制限をクリアできるところに片っ端から送りつけるようなスタイルでした。ほんらいは純文学系とか大衆小説系とか傾向と対策をかんがえる必要があったのでしょうが、そういうものすらわからず応募していた気がします(もう25年以上むかしなのでさだかではありません)。

このころの新人賞は99%「自筆原稿原本送付。コピー、ワープロ原稿不可」という応募条件がありました。
すでにワープロも普及していましたが、ワープロは掛け持ち応募が簡単なので、出版社側が受け付けなかったのです。

では当時どうしていたかというと、まず、原稿そのものはワープロでかんがえます。出来上がったらいちど紙に出力して、添削します。小さい画面ではわからなかった「てにをは」の間違いや似た意味の単語の重複をけずります。このとき、1晩寝てあたまをすっきりさせてから、黙読もしくは音読するのが重要で、これでだいぶ文章のながれがよくなります。

そして、その結果をワープロ画面で修正してまた紙に出力し、買ってきた原稿用紙に手で書き写す作業をしていました。

さいしょは市販のボールペンをつかっていたのですが、手がつかれます。

どうやら万年筆というもののほうが、手がつかれないらしい。

そんな話をきいて祖父にカネをせびって、はじめて買ったのが、プラチナ万年筆の数千円のものでした。

プラチナ万年筆はインクの出が渋く、ペン先がよくしなります。縦書きの日本語が美しく書けるようよくかんがえられた製品で、下手くそな字が1ランクじょうずにみえます。

これはこれで素晴らしいのですが、気になったのは微妙なひっかかり感。

そこが気になりだすと、他社はどうかと試してみたくなります。

結果、落ち着いたのがパイロットカスタムの中字でした。原稿用紙に筆写用ですから、中字でなめらかに、手首が痛くならないよう書けることが、重要でした。パイロットカスタムはボールペン慣れした「立てて書く世代」を意識しており、筆跡の美しさより、手に取ってすぐポジションが決まる使いやすさを重視していたのも、よかったのかもしれません。

私はたまたま縦書き日本語の大量筆写という条件で万年筆に目をつけてしまいましたが、ふつうに横書き重視であれば、モンブラン、ペリカン、パーカーのような3大ブランドから入っていった可能性はあります。

実用性の高さとブランドを最高位置で両立しているのがモンブランで、ペリカンがそれに続く感じだったでしょうか。パーカーは装飾重視リアヘビーで、長時間大量筆写には向きません。パーカーはブランドとデザインで買うものです。さいきんは聞かなくなりましたがシェーファーやカランダッシュというのもよい製品です。

とはいえ海外ブランドはいずれも高いし、もともとすべり重視でインクがよく出るので、縦書き日本語だと原稿用紙が乾くのを待ちながら書く感じになってしまいます。そこをよくかんがえているのが、パイロットさんとプラチナさんで、ペン本体や純正インクに工夫をこらし、やすい紙質の原稿用紙でもあまり待たずに次が書きだせるようになっています。

同じ万年筆でも、国産と海外製品であきらかにちがうのには当時驚いたものです。

これに気づくと、作家がモンブランやパーカーの万年筆を絶賛している文章に出くわすたび「このひと1日何枚仕上げてるのかな?まさか横書き原稿用紙使ってるのかな?あの乾きっぷりでじゃんじゃん書けるわけないんだが」と邪推するのも楽しくなってきます。

ここまで話題にしなかったセーラー万年筆は、とにかくペンの書き味にこだわった会社ですが、パイロットさんやプラチナさんよりインクの出もよい(縦書き大量筆写向きでない)製品がおおかったので、手元にのこっているものは(最近買い直した「ふでdeまんねん」以外)1本もありません。たぶん、今後も選択はしない気がします。

文箱のなかにある、手持ちのなかでも高めの万年筆を引っ張り出してみました。

赤枠でかこった平蒔絵のものが、手持ちのなかで現役最長老です。これより古いものは新人賞応募時代に買ったもので、ペン軸が折れたりペン先がとれたりして修理に出しても具合がわるく、けっきょく棄てました。この現役最長老は社会人になって蒔絵万年筆が気になるようになり、さいしょに購入したものです。

画像いちばん奥は、パイロットさんが1999年に全世界700本限定で発売した「蒔絵万年筆 白頭鷲」で、あとはカスタム845平蒔絵万年筆ですが、赤枠の現役最長老いがいは、つかう機会がないためすべて内部を洗ってインクを抜いてあります。

さいきん買ったパイロットカクノと現役最長老平蒔絵で、手元の筆順辞典のタイトルをながめながら書き比べてみました。カクノは中字(M)で、平蒔絵は細字(F)です。高い万年筆のなにがよいかというと、ペン先が細くてもすべりがよい、という点にあります。

これは、工作精度の向上にかけられる時間とカネが違うのだから当たり前ではあるのですが、毎日100枚ずつ筆写とかそういう状況だと腕の疲れ具合が違うため、重要です。とはいえ、ちょっとしたメモなら安いものでも実用に問題はありません。

むろん筆跡やインクの出かた、握ったときの重量感などこまかい満足度はあきらかにちがいますが、それがどうしようもなく影響をあたえるのは、よほど酷使する環境のみです。
これは高級車と軽自動車の関係と同じです。両方とも車には違いありませんが、高級車は高速道路などをつかった長距離ドライビングなどで、静粛性やシートの疲れにくさなど上質を実感するのに似ています。しかし、近所の5分くらいで到着するスーパーまでの足なら、なんだってかまいません。屋根があって後部座席に買い物袋が乗ればなんでもOKです。

要は使いかたと、あとはブランドやステータス(見栄)の問題だとおもいます。たしかに高級万年筆で書くと、字が上手くなったように錯覚できますものね……。

 

立候補予定者との打ち合わせ。そして法人異動届と電子申告。

10時から後援会事務所にて、関係者と打ち合わせしました。

14時ごろ打ち合わせから帰宅し、郵便受けを確認すると、福岡法務局から閉鎖事項全部証明書が3通とどいていました。さっそく県税事務所、市役所、税務署の法人異動届を作成して印刷し、これらとはべつに電子申告で最後の確定申告をしました。

県税事務所と市役所は郵便局に持ち込み、税務署は徒歩圏内なのでここだけは書類を持参する予定です。

 

すごい。暴落中(^^♪

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金の買いが優勢で国際価格は反発ったって、円ドルレートで換算した金額が国内価格となるため、gあたり200円の暴落です。まぁ、これまでの円安でかさ上げした化けの皮がやっとはがれたということでもあるんですが、長かったですね。

たぶんこれからは円高が進むんだろうなぁ、という気はしますが、しょうじきどう転ぶか、わからないですものね……。

まぁ、ダラダラといつものように純金積立と投信積立をするだけです。