松村かえるの「かえるのねどこ」

旧「美風庵だより」です。

5月12日の日録(正人どんをたずねて編)

正人どんをたずねて

(2022.5.13)わかりやすいよう境界図を差し替え、文章の見直しを行いました。

堀り開削のために犠牲となった『正人どん』 その遺構を訪ねる 福岡県嘉麻市上西郷 - 日々の”楽しい”をみつけるブログ

天神社の参道脇に祀られる三基の庚申塔 福岡県嘉麻市上西郷 - 日々の”楽しい”をみつけるブログ

ひごろ拝読しているブログで、嘉麻市上西郷地区の「正人どん」の話が取り上げられていました。

墓所を探したが見つからなかったという記載があります。以前は記念碑のところに墓所や屋敷があったと伝えられている場所の案内図があったはずなのですが、どうやらなくなっているようです。

というわけで、田川方面に所用のついでに、嘉麻市上西郷地区に立ち寄りました。

なお、今回掲載する画像は、帰り道のものです(傘をもったまま撮影したため、行きに撮影したものは傾いてしまっていました)。

墓所や屋敷跡への経路はこんな感じです。

水門や記念碑がある場所で正面向かって右を向き、橋を渡って斜めに集落に入っていく道をめざします。

坂道を登っていくと変形十字路があり、久吉公民館に「正人どんの墓所」と看板があります。

久吉公民館のちょうど反対側から民家へ道がのびており、まっすぐ進むと民家の庭先に出ます。

民家のさきに、墓所への取り付きがあります。むかしはもう少し道らしかった気もするのですが……。

集落のかたによる手すりにつかまり階段を登り、踏み跡を登っていくと……。

お堂があります。正人どんの墓所は、このお堂の裏山です。

まっすぐ登ると集落の墓地に着き、お堂の脇からお堂の裏山に登ると、正人どんの墓所がみえてきます。

私が子供のころ、正人どんを「しょうにんどん」と習った気がするのですが、現在は「しょうじんどん」が公式認定されているようです。

この話を年配の知人にしたところ、「「まんが日本昔ばなし」かなにかに取り上げてもらえるという話だったか、とにかくあのころ、きちんと学者をいれてしっかり記録を残そうという話になって、しょうじんどんが正解ということになったはず」とのこと。

まんが日本昔ばなし~データベース~ - とにかく全1474話を一覧表にしました。

まんが日本昔ばなし〜データベース〜 - しょうぜんどん

No.1108
しょうぜんどん
放送回:0699-A  放送日:1989年05月20日(平成01年05月20日)
演出:こはなわためお  文芸:沖島勲  美術:青木稔  作画:遊佐和重
一鍬幅(ひとくわはば)の溝を掘り、田に水を引いた大男のとんち話

1989年5月に、脚色を加えてアニメ化されていますから、それ以降に郷土学習でならったひとは、しょうじんどんと読むはずです(平成元年に小学生だったかどうかが境目なわけですね……)。

土曜日の夜、よいこの教養番組枠でまさか代官が逆上して一族処刑しちゃうなんて話ができるわけありませんから、まぁ、こういう脚色もあるのでしょう。

秋月藩と黒田本藩の境界線を地理院地図に書き入れると、こんな感じになります。

嘉麻川(飯塚で穂波川と合流し「遠賀川」となります)をはさんで黒田本藩と秋月藩領があったという説明を中学生当時きいて、自分とこの領地ならべつに堰を掘ってなにがわるいのか、と最初おもって質問したのをおぼえています。

そのとき言われたのは、こんな話でした。

現在、須賀神社のある辺りに、大正末期ごろまで船着場があったそうです。舟の出入りがあった関係で両岸とも黒田本藩が管理しており、支藩である秋月藩は勝手にはなにもできませんでした。なお、須賀神社が現在地に移転してきたのは、昭和40年代に旧嘉穂町役場を拡張・改築したときとのこと。

そして、地図をみればわかるとおり、秋月藩が岸を管理している上流側から用水を通そうにも、久吉集落からみて上流側にも黒田本藩領が横切っており、ここに勝手には水路はとおせません(実際には、許可を得て現在の記念碑があるところより上流*1側に、水門をつくっています)。

ポンプなんて便利なものはない時代です。水は高低差を利用して、上から下に流すしかありません。

上西郷の久吉集落のあたりは、どこからも導水ができない状態だったわけです。

私の実家がある辺り(上流部)では緩かったのですが、下流部になると、集落ごとに田んぼに水をいれてよい日が決められており、守らないものは私刑の対象となったとのこと。ほんの20年前でも約束を破るやつに周囲が私刑を加えた話をききましたから、これだけ水利施設ができても、基本的にはどこもピーク時には足りていないのです。

江戸時代には宅地転用も減反政策なんてのもやっていませんから、なおのことです。

そう考えると、正人どんの一族まで処刑した黒田本藩の役人も、寛大な心でゆるせるわけがなかったことがわかります。自領の庄屋やお百姓にまったく示しがつきません。彼らからみればテロ行為です。

逆に同じ集落の者からみれば、末代語り継がれる英雄です。

いまでこそ境界線が取り払われ、一体となって土地改良を行い、水路がとおされていますが、報道されているクリミア紛争や38度線とはずいぶんと規模感がことなるものの、これもまた国境紛争だったのだとおもいます。

墓所を訪問するのはおそらく中学以来でしたが、世のなかって難しいものだとあらためて感じました。

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5月10日の日録 - 美風庵だより

先日書いたとおり、ふるいカーナビの利用をあきらめて、スマホのカーナビアプリを使用するようになりました。ただ、問題はどこにスマホを取り付けるかです。

いまのところ、ドリンクホルダーに取り付けるタイプを利用しています。

けっしてみやすいとは言えないのですが、どうもほかの位置では取り付けようがありません。

まだ1か月ちょいですし、そのうちもっとよい解決策が見つかるかもしれません。

*1:現在の記念碑は、町おこしの観光資源化をはかったときに、公園として整備された場所に建てられています。じっさいは数十メートル上の水門があるところです。