美風庵だより

幻の花 散りぬ一輪 冬日の中

屋敷墓

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筑豊でまず屋敷内に墓がある家をみかけたことはありません。
ところが、八代・人吉方面や筑後地方に行くと、みかけることがあります。
屋敷の敷地内に墓があるのは良くないという話もあり、むかし、いろいろ調べたことがありました。
もっとも納得がいったのは、あるお寺の尼さんから習った話で、敷地内に祠(小さい神社)があるケースと同様、毎日きちんと掃除をして、しっかりお祀りをしていれば吉、そうでなければ凶というものでした。
生者が住むのが陽宅で、墓は陰宅なので、ほんらい正反対のものです。考えてみれば、赤貧の実家も、墓地は川を挟んだ反対側にありました。橋を渡らないと行けない場所にあえて作っていたわけです。それを同じ敷地や隣接地にするのは、先祖を屋敷神として常に祀る意図があったはずで、それができなくなった時点で、陰宅に呑まれてしまいます。
あと重要なのは土地の高低差で、陰宅は陽宅よりも高い位置になければなりません。このあたりは、神棚を天井近くにもうけるのと同じことで、生身よりも神に近づいている者を、見下すようではいけません。とはいっても、マンション暮らしで寺の納骨堂よりも高い位置で居住しているひとはいくらでもいるわけで、あくまでも「直接自分の目で見下ろせるかどうか」を基準としないと、いまの社会ではどうにもならなくなるわけですが。
むかし、個人的に嫌いな或る自称霊能者が、テレビで自らが設計した神殿を自慢していましたが、唖然としたのは、貴賓席と称して本尊を見下ろす2階席をもうけていたことです。本尊よりも高い位置の貴賓とは誰のことでしょうか。いっぱい寄付してくれるお金持ちのこと?そんなものをつくる神経では、おさとが知れます。
のちにこいつが霊感商法で裁判沙汰になったのも、しょうがない気がします。