松村かえるの「かえるのねどこ」

旧「美風庵だより」です。

2023年6月19日の日録

タケノコ山の思い出

実家には竹林(タケノコ山)がありました。

いまもその山はありますが、荒れ放題です。

平成10年ごろまで、地元にタケノコ水煮の缶詰をつくる工場があり、時期になるとその工場に出荷する分をまいにち掘っていました。学校帰ったら長靴はいて、小遣い稼ぎにタケノコ掘りにいそしんでいたものです。

最盛期は1日2回、集荷のトラックが巡回してきます。

伸びすぎていたり固くなったりしたものは、出荷したカゴに入れて突っ返されてきました。

出荷用のカゴにはすべてアルファベットと数字で出荷者の識別番号がついており、最初は油性マジックで書きこんだだけでしたが、扱っているうちに字がかすれていき、どれがだれのものか、わからなくなってきます。そのため工場稼働末期は、カゴのプラスチックに直接焼き付けてありました(おそらく焼き印だったとおもわれます)。

突っ返されたものは、まず可能なかぎり自家消費します。

この時期、タケノコの煮物とごはんばかり食わされます。規格外タケノコを食って減らすのが目的なので、鶏肉などほかの具材がはいることはほぼありません。厚く削った鰹節とイリコ(煮干し)とタケノコのみの煮物で、事実上これが主食です。

ごはんは、途中の口直しにおかず代わりに食います。

それでも食いきれないぶんは、空き地(むかし納屋が建っていた跡地)に棄てます。

出荷日程を終え、自家消費しきれなかった返品分が山積みになったところで地面を掘り起こして穴をつくり、そこに埋めて、1シーズンが終了です。

水煮缶詰め工場が廃業してからは、私の実家だけでなく近所の人もカネにならなくなったタケノコ山の手入れなぞ誰もしなくなり、自家消費分をたまに採りに行くくらいで、99%放置状態となりました。

工場に出荷してカネに替えていたころは、見知らぬ車を発見したら盗掘ではないかと山に向かい、相手を誰何したりしていましたが、カネにならなくなったとたん、山の入り口に見知らぬ車が止まっていても、私も祖父も知らんぷりしてとおりすぎるようになります。現金なものです。

盗掘している見知らぬ相手に声をかけると、男女で対応がわかれます。

ニヤリと笑いながら「これで勘弁してくれ」と千円札や小銭を出すのは圧倒的に男性が多く、女性の多数は助手席や後部座席に積み込んだタケノコを放り捨て、これでいいだろ!と啖呵を切って逃げます。

「家計の助けに盗掘してんのにそこでカネを出したら元も子もないから逃げるしかないのが女で、男は素直に食いたいから採ってるんでバレたら払えばいいと割り切ってるんだろう」と祖父が分析し、なるほど、とおもったものでした。

田舎育ちのくせに山菜とかタケノコにあまり興味を示さない(ありがたがらない)のも、出荷時期の終盤、トイレに行ったらウ◎コが固すぎて血が混じるくらい食わされた記憶があるからかもしれません。

福岡県那珂川市の私有林で山菜を無断採取したとして、同市議会は16日、男性市議(67)=1期目=に対する問責決議案を可決した。
決議では「市民の負託を受けた市議として恥ずべき行為で、市議会への市民の信用と信頼を失墜させた」と指摘。猛省を促し、議員としての責務を自覚するよう強く求めた。

山菜を無断採取の福岡・那珂川市議に問責決議案可決 市議会「猛省を促す」|【西日本新聞me】 (nishinippon.co.jp)

福岡県那珂川市の山林で、同市の男性市議が山菜を土地の所有者に無断で採った疑いがあるとして、福岡県警から事情を聞かれていたことがわかった。森林の産物を許可なく採るのは森林法で禁止されており、市議は読売新聞の取材に「軽い気持ちでやってしまった。所有者の方に申し訳なく、反省している」と話した。
市議によると、4月6日午後、同市山田の山林で山菜・コシアブラを一人で採取しているのを、所有者に見つかった。その際、偽名を名乗ったが、免許証の提示を求められたため、本名を明かしたという。

市議が無断で山菜採取、土地所有者に見つかり偽名…「軽い気持ちでやってしまった」 : 読売新聞 (yomiuri.co.jp)

「いまどき警察沙汰にするほど価値がある山菜なんてあるのか」「ほかの議員の支援者から足をすくわれたのか」とこのニュースを読んでいて、タケノコ山のことを思い出したわけですが、山菜は山菜でも、コシアブラなんですね。

いま1kgで数千円はします。もっとするかもしれません。栽培もされています(苗も売っています)。

それをかんがえると、たまたま山でみかけたコシアブラを採取してみつかったというより、経済作物として持ち主が育て、道の駅とか料亭とかに出荷しているのを、しれっと泥棒したとかんがえるべきなのでしょう。畑の野菜や果物をかっぱらうのに近い行動なわけです。

もう少し、どろぼうしたものの価値をわかりやすく書かないと、そこらへんの河川敷でつくし(ずくぼ)を取っているおっちゃん達との違いが、わからんよなぁ……。

 

19日の記録

amazonの出品がうまくいきません。

絵付け職人さんがあたらしい絵柄を完成させるたびに、新しい商品として「民芸品」カテゴリに登録するのですが、なぜか数時間もすると「ベビートイ」に勝手にカテゴリが移動しています。

どうしたことかとしばらくかんがえてみると、どうやら「英彦山がらがらの窯元で製造した素焼きの土鈴に絵付け職人さんが彩色した当店オリジナルの手作り品です」という説明がまずいようです。

がらがら」という単語を、幼児のおもちゃとしてAIが認識して勝手に整理されてしまいます。「英彦山がらがら」という昔からある魔よけの土鈴のどこが子供のおもちゃなんだとツッコミどころ満載ではあるのですが、民俗文化の知識なしで単語の整理をさせれば、こうなってしまうのでしょう。サポートに連絡をとってしっちゃかもっちゃかしましたが、言い分がとおりません。

そもそもそのサポートから6回は読み返さないと意味が分からない回答が返ってきます。署名をみるかぎり、機械翻訳で現地の言葉に訳したものを読んで外国のかたが返答を書き、それをまた日本語にしているようです。英語だったら英語でいいので原文送ってくれないかな……とおもってしまいます。

困りました。

数分思案しました。

そう。「押してダメなら引いてみな」と申します。

商品登録方法を見直し、親商品名を「土鈴」、商品説明を「当店オリジナルの手作り品です」のみとし、色違い・絵柄違いのバリエーション(子)のほうに「英彦山がらがらの窯元で製造した(略)」の文字を登録しました。

これで、いまの時点でまだAIからカテゴリ強制仕分けされていません。

まぁ、とんち比べみたいな話ですが、いいのかこれでAI……。

 

貧窮者の弁当

平日常勤している事務所から徒歩圏内に中華料理店などあるのですが、いかんせん昼はお客さんが多すぎます。

移動販売の弁当屋さんは、揚げ物の油がじっとりと染みていて、いくら貧窮でも身体がうけつけません。

というわけで、タッパーでごはんを持参しています。

もともと3合炊きの炊飯器で3合炊いて、タッパー4つに詰めて冷蔵するようにしています。朝食ったものを昼にもういっかい食うだけなので、安上がりといえば、安上がりです。

あと2日ほど、ブナシメジとツナ缶の炊き込みご飯を持参することになりそうです。

それが終わったら、たぶんまた冷凍保存したブナシメジとエリンギで炊き込みご飯をすることになろうかとおもいます。たまたま安かったときにまとめ買いして、冷凍庫ブナシメジで埋め尽くされてますからね……。