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JR若松駅周辺は知人の奥さんの出身地というくらいしか縁がなく、高校時代に県内JR線めぐりをした際以来ですから、足を踏み入れるのは30年ぶりです。
神明造の立派な拝殿にまず驚き、さらに拝殿内の扁額に驚きます。
白山神社というからには菊理姫こと、天之御中主が中心だと考えてしまうのですが、なんと、3番目なのです。雛段飾りを思い出せばわかると思いますが、中央のいちばん偉いひとから見て、左手(つまり私達からだと正面向かって右手)が左大臣、その反対が右大臣の位置です。左大臣のほうが格が高く、右大臣は3番目になります。
ここでは、イザナミが一番偉く、次は事解男こと(イザナミの兄である)金山彦、そして天之御中主という位置づけなのです。なのに「白山宮」……。
白山神社御由緒
当社は霊峰白山を神体山とする加賀国白山比咩神社の御分社にして元遠賀郡藤木頓童子丸に奉祀せられし白山社をその創始と伝へらる。寛永六年修多羅村稲荷山に産土神として勧請、氏子の発展に伴い貞享二年浜田城址に、享保四年葉山の山腹たる現在地に遷座す。現社殿は御鎮座三百年皇紀二千六百年奉祝記念として昭和十五年御造営のものなり。
現地の案内板をみても、この「白山」+「熊野」とでもいうべき配神が理解できず、福岡県神社誌などを再読してみました。現在の北九州市若松区には白山神社は3社ありますが、昭和15年(1940年)に県社昇格したこの白山3丁目の白山神社の元宮は、JR藤ノ木駅近くの白山神社であり、さらにその元宮は、響灘緑地に近い若松区小竹の白山神社であることがわかります。要は、居住地(村域)の拡大・発展に従って白山神社も移転していったのです。
若松区小竹の白山神社の項目を、福岡県神社誌で調べると御祭神は「速玉男命、菊理姫命、事解男命、伊弉冉命」とあり、白山権現を祀った後から、熊野権現も勧請した旨の記述があります。
白山+熊野という現在の姿は、元宮から引き継いだもののようです。
そうなると、速玉男こと大幡主が消された理由を考えなくてはなりません。大幡主から見て、天之御中主は長姉であり、(イザナギと別れ)イザナミは妃となり、イザナミの再婚の仲介をしたのが金山彦ですから、中心人物がだけが消されているのです。やはりそこにはなんらかの意図があったと考えるべきで、どうも、ほかの白山神社を訪問してみる必要がありそうです。
福岡県神社誌では、境内社を天満神社と須賀神社としています。どうやらこの2社は、この神社の付近に別に祀られていたものを、社殿改築の際に、併せて祀るようになったもののようです。もともとこの神社が建っている場所は「稲荷山」と呼ばれていたそうで、社殿の両脇に、貴船社・大山祗社・恵比須社・稲荷社があり、元々の痕跡が残されています。
福岡県神社誌:上巻198頁
[社名(御祭神)]白山神社(菊理姫命、事解男命、伊弉冉命)
[社格]県社
[住所]若松市山手通六丁目
[境内社(御祭神)]須賀神社、天満神社
(2020.09.19訪問)