美風庵だより

幻の花 散りぬ一輪 冬日の中

河合雅司「未来の地図帳」(講談社、2019)

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今後の「縮み方」について問題提起をした本です。以前、電子版で購入し「積ん読」したままでした。
小池氏関係の本を立て続けに読み疲れ、頭の休憩にこちらを読んでみます。
 
ほぼ8割がたが、各都市圏ごとの状況分析であり、各都市圏の今後の推移を概観するのに役立ちます。この問題に関しての知識を整理するには手ごろな本です。
終盤で、課題に対する著者なりの解決案を示しています。
 
読み終えて思うのは、次のような点でしょうか。

(1)著者は今後、さらに47都道府県の人口格差が広がることを推計値から指摘し、自主運営が困難になった市町村の解散を認め、基礎自治体都道府県とすべきと提案しています。独自の健康保険組合と「協会けんぽ」の関係を引き合いに、考えているようです。

この提案自体は、人口減少社会を乗り切ることを考えれば正しい提案といえます。

気になるのは、著者本人が指摘したとおり、47都道府県の人口格差が約30倍近くまでひろがるわけですから、そもそも47都道府県をそのまま基礎自治体とするべきかどうかが、問題です。

おそらく都道府県についても再編が必要となるでしょう。それならいっそのこと、藩と天領の関係に戻るほうが、正解かもしれません。原則、基本的には国(の出先)がユニバーサルサービスとしての公共サービスを提供し、自主運営できる地域について、市町村を設置できるようにするものです。

違うのは、殿様を国が指名するのではなく、その市町村を構成する住民が選挙で選ぶことでしょうか。各地で「市町村」として自治会事務局+国の代理窓口+議会を自主的に運営してもらい、災害対応や公共交通網の整備は、まず第一に国(の出先)が実施します。各地の事情できめ細やかなサービスがしたければ、それは「市町村」を構成して自分たちで上乗せサービスとしてやればよいのです。

(2)もう一点は、よく判らないうちに誰かが運営してくれている、という意識を国民が持つことがないよう、自主自立自助を明確にすることです。真っ先に取り組むべきは、義務教育における納税教育の徹底と、源泉徴収制度の撤廃でしょう。全国民が確定申告できる税理士が失業するくらいわかりやすい税制度にしなければなりません。

(3)最後は、デジタル化の推進です。人口減少社会においては、就労人口も減ります。公務員などの公共サービスを維持するための人員を過剰に確保すれば、そのぶん民間市場に投入できる人材が減ります。デジタル化により、公共サービスに必要な人員は合理化せざるを得ません。成長分野にひとを回し、経済の縮みを最小限に抑えないといけないのです。