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野芥の櫛田神社から勧請されたとのことで、基本的には同じ性格をもつものと考えてよいのですが、福岡県神社誌の以下の記述が気になります。
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垂仁天皇の御宇越の国に阿彦と云ふ凶賊ありしを此命に勅して征伐せしめらる、命則ち幡を挙げて輙く退治の勲を立給ひしより大幡主命の名を賜へるなり。此命倭姫に従ひまして国見に巡り給ひし時倭姫の御櫛田に落ちたまへり後人其処を櫛田と云ふ、さてぞ此大若子命を櫛田大神と称へ奉ると云ふ。
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つまり、倭姫命の櫛が落ちたので櫛田大神と呼ぶというわけです。まさに「?」な話ですが、そのくらいこじつけるのが難しい存在ということなのでしょう。
社殿に案内板があり、正面向かって左側の幸神社がもともとの地主神であると書かれています。幸神社の御祭神「幸神」は、おそらく誰か特定の人物を指しているわけではない、というのが、現時点での解釈です。例えば高良下宮社では、幸神に孝霊天皇を充てていますし、他の神社では大己貴(大国主)や猿田彦を充てているケースも見られます。
いずれを御祭神に充てる場合でも、面白いほどみかけるのが木や石で出来た張形(ち*こ)です。久留米市大善寺町の大善寺玉垂宮では、こけしっぽいなにかでしたし、桂川町内山田の天神社でみかけたのは「すりこぎ」でしたが、この荒江の櫛田神社にあるのは、やたらリアルで驚きました。しかも、平成です。医学が発達した現代でも、こういう願掛けはあいかわらず存在しているのです……。
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福岡県神社誌:上巻91頁
[社名(御祭神)]櫛田神社(天照大神、大若子命、天児屋根命)
[社格]村社
[住所]福岡市大字荒江字宮ノ前
[境内社(御祭神)]幸神社(道祖神)荒江字幸の前に無格社幸神社として祭祀ありしを大正四年七月五日許可を得て合併古く荒江の産土神と伝ふ。
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(2020.06.16訪問)