松村かえるの「かえるのねどこ」

旧「美風庵だより」です。

ふるさと納税という名前の争奪戦

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 実質自己負担2000円(自己負担2000円で済む寄付の上限額は年収や家族構成によって異なる)で豪華返礼品を受け取れるとして大ブームとなった「ふるさと納税」。泉佐野市は2017年度に集めた寄付金の総額が約135億円で日本一だった。
 一方で、制度を所管する総務省は、泉佐野市のような寄付額の5割相当の返礼品を贈り、かつ地元の特産物ではない返礼品を多く用意する自治体の存在を問題視。返礼品は「寄付額の3割以下」「地場産品に限る」という原則を厳格化し、守らない自治体に対しては、今年6月以降ふるさと納税制度から除外する地方税法の改正案が今国会で成立する見込みだ。
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日本という国はふしぎなもので、片方でナショナルミニマムを実現するために地方交付税を配り、逆に、かたや地公体による財源の分捕りあいもふるさと納税という名前で認めています。

むかしから思うのですが、ナショナルミニマムを実現するためだけなら、機関委任事務はぜんぶ国が末端まで事務所をつくってやればよいのです。そうすれば地方交付税を配布しなくても全国民に均一にサービスを提供できます。そうでない部分だけが市町村に残ればよく、市町村の事務所は下手をすると職員数は1割くらいになるでしょう。中央集権という批判はあるでしょうが、人口減少社会で納税者も減少していくなか、最低守るべき線を維持することのほうが重要です。

泉佐野といえば関空目当てに大規模開発をやって、やっとこ立ち直ってきた地公体ですから、外貨獲得に必死なのはわかります。しかし、そもそも互いが互いに奪い合う構図がどうなのかな、とも思うのです。

ふるさと納税で財源が多額流出して、職員を整理したりゴミ収集回数を減らしたりなんて事態でもおきないかぎり「通販でものを買ったら節税になる仕組み」くらいの認識から抜けられないのでしょうが……。受益者負担の原則って、学校で習うはずなんですけどね……。少なくとも、ふるさと納税をしたら、自分が住んでいる地公体に入るべきお金が減るということくらいは、学校で教えてもよいはず。あくまでも寄付制度なのですから。