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オーケストラ・キャラバン~オーケストラと心に響くひとときを~兵庫芸術文化センター管弦楽団(PAC)ニューイヤーコンサート in久留米

兵庫芸術文化センター管弦楽団(PAC) ニューイヤーコンサート in 久留米 | 久留米シティプラザ

オーケストラ・キャラバン~オーケストラと心に響くひとときを~兵庫芸術文化センター管弦楽団(PAC)ニューイヤーコンサート in久留米

日時:2023年1月7日(土)15:00開演(開場14:15)
会場:久留米シティプラザ ザ・グランドホール

[出演] 
指揮:阪哲朗
管弦楽:兵庫芸術文化センター管弦楽団(PAC)
ピアノ:小林海都

[曲目]
チャイコフスキー:ピアノ協奏曲第1番変ロ短調op.23
ドヴォルザーク:交響曲第9番ホ短調op.95「新世界より」

現在、文化庁の助成事業として「オーケストラ・キャラバン」なるものがおこなわれています。九響が岡山や金沢で演奏会を実施したのはホームページ等で知っていたのですが、逆に、今日は関西のオーケストラが九州にやってきました。

曲はニューイヤーコンサートとして定番すぎるほど定番、チャイコフスキーのピアノ協奏曲第1番と、ドヴォルザークの新世界交響曲です。

はてなブログに引っ越してきたのが2008年ですが、過去の日記を検索しても名前が出てこないため、ほぼ間違いなく、阪哲朗さんの指揮で曲を聴くのは今回がはじめてです。

Profile | 阪 哲朗 Tetsuro Ban

ビール市立歌劇場(スイス・ベルン州)専属指揮者(1992~97年)、ブランデンブルグ歌劇場専属第一指揮者(1997~98年)、ベルリン・コーミッシェ・オーパー専属指揮者(1998~02年)、アイゼナハ歌劇場(ドイツ・テューリンゲン州)音楽総監督(2005~09年)、山形交響楽団首席客演指揮者(2007~09年)、レーゲンスブルク歌劇場(ドイツ・バイエルン州)音楽総監督(2009~17年)を歴任。現在、山形交響楽団常任指揮者。びわ湖ホール芸術参与。

身振り手振りのおおきな、よく歌わせる歌劇場のシェフみたいな音だなぁとおもっていたら、ほんとうに各地の歌劇場のシェフを歴任されたかたでした。チャイコフスキーもドヴォルザークも、さらりとした出だしのテンポに慣れず数秒ほど置いていかれてしまいましたが、あたまが追いつくと、メリハリの利いた美しい音に気づきます。

チャイコフスキーのピアノ協奏曲第1番にかんしては、ピアニストはたいへんですが、伴奏はそこまで難しくはありません。新世界交響曲も、楽譜は易しめです(技巧難易度が高い曲がお望みならマーラー、繰り返し続くオスティナートで精神の鍛錬がしたいならブルックナーをどうぞ)。そのぶん、指揮者や楽団員の姿(音の表情)が出ます。

阪哲朗さんの指揮も、それにこたえるオーケストラの皆さんもニュアンスがこまかく、じっと聴き入ります。

隣の二人組はどうやら現在地元に里帰り中の音大生だったようです。前半のチャイコフスキーが終わって休憩中「ピアニストが奔放に弾いているようで、ポイントは指揮者をずっと注目していた」という話をしています。視力はよくないため、音だけ聴きながらギアチェンジみたいな瞬間があるとはおもっていましたが、なるほど互いが互いのズレを意識した瞬間が、ギアチェンジっぽかったわけですね……。

来年以降もこういう催しがあるのかどうかはわかりませんが、またこの会場に来てくださいとアンケートに書いて、駅まで歩いてもどりました。

今回でこのホールで音楽を聴くのは3度目です。舞台からの響きも1階席の雑音もよく響く定位のわかりやすい会場で、これが飛行機代も新幹線代もかからず片道400円の電車賃で済むのだから、ホントありがたいものです。