松村かえるの「かえるのねどこ」

旧「美風庵だより」です。

久しぶりに聴きなおす。

 

ブルックナー:交響曲第8番

ブルックナー:交響曲第8番

 

 若いころは老後のことなどみじんも考えず、貯金や投資もそこまで本腰いれていませんでしたから、おカネに余裕がありました。よくもまあ、あれこれと演奏会に行けたものです。
現在は、年に数回、秋山詣でをするのが精一杯になりました。
いまのところ、
・年末の「第九と四季」
・2月のカルッツ川崎(チャイコのピアノ協奏曲3曲)
までは、入場券と航空券と宿を確保しています。
それ以降は、2019年12月に行われるミューザ川崎「第九」は間違いなく出るとおもいますが、ほかについてはまだわかりません。
 
演奏会に行く回数も減り、日常の生活に変化もとぼしく、そもそも生活困窮。
どうもいろいろと困難が多い赤貧の人生ですが、それでも年賀状を書かなければなりません。
字の稽古をしながら、久しぶりに朝比奈さんのブルックナーを聴きます。
 
赤貧はこの演奏をFM放送で聴きました。入場券は買えたのですが、演奏当日前後に生活上のトラブルを抱えており、NHKホールに行くなどという余裕がなかったのです。
演奏終了後、解説者が「すごい演奏」と連発していたのをうっすらと覚えています。ただ食い入って聴くのが精一杯で、あっという間に終わったとしか記憶にありません。
CDになり、あの日なにに感動したかを追体験できるようになったわけですが、あらためて聴いてみると、ほかが聴けなくなる演奏だとあらためて感じます。計算を感じない、ただじっと聴いていればいい演奏は、芸道の世界に共通するものです。いちどこれで聴いてしまうと、ほかの演奏を敢えて録音を買ってまで聴こうとは思えなくなります。
CDを買う量も極端に減りました。指揮者や演奏家の良し悪しではなく、けっきょく曲が好みかどうかで聴くタイプなので、ある程度渉猟してしまうと、新規で買う量はぱたりと減るわけです。また、ちょっと聴くぶんにはよい演奏家だとおもっても、なんどか繰り返して聴くうち、そうでもないのに気づくのが早いというか……。
老化なのでしょうか。そうはおもいたくないのですが。