松村かえるの「かえるのねどこ」

旧「美風庵だより」です。

「Dear My Baby」

この作品集でいちばん好きなのは「ジャカランダ・ロード」。もともと「王国の獣たちへ」という前篇があります。前篇では、大学生カメラマンと、ケニアと日本のハーフの女性が恋におちるところまで、この後篇では、その二人が結婚するところまでが描かれます。
 
表題作よりもこちらのほうがずっと良いと思うのだけれど、以前からさまざまな単行本の「穴埋め」扱い。なんせ前篇と後篇が別々の単行本の穴埋めに使われている時点で、お察しください、というもの。人種問題だからなのかと最初おもっていましたが、どうも、ハッピーエンドだからじゃないか、という気もしているのです。津雲さんはドロドロじゃないと面白くないと思っている読者のほうが、多いのじゃなかろうか……。