松村かえるの「かえるのねどこ」

旧「美風庵だより」です。

中部フィルハーモニー交響楽団 第93回定期演奏会「北欧シリーズ vol.5」

第93回定期演奏会 NAGOYAソワレ・シリーズ2 | コンサート | 中部フィルハーモニー交響楽団

中部フィルハーモニー交響楽団 第93回定期演奏会「北欧シリーズ vol.5」
日時:2024年9月27日(金)18:45開演(開場18:00)
会場:愛知県芸術劇場コンサートホール
[出演] 
指揮:秋山和慶
管弦楽:中部フィルハーモニー交響楽団
[曲目]
シベリウス:交響詩「フィンランディア」 作品26
シベリウス:交響曲第7番 ハ長調 作品105
(休憩)
シベリウス:交響曲第6番 ニ短調 作品104
[開演前のロビーコンサート]
シベリウス:伯爵夫人の肖像
シベリウス:春の歌
Vc.河井裕二、Cb.早瀬美紀、Cb.望月康宏、Vc.原悠

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昨年度から秋山さんと中部フィルは「北欧シリーズ」と銘打ち、シベリウスの交響曲全曲演奏会に取り組んでいます。昨年度は土日開催だったため3回とも聴くことができましたが、三井住友海上しらかわホールが2024年2月で閉館となり愛知県芸術劇場に場所を移したためか、今年は平日公演ばかりとなってしまいました。

名古屋から最終の新幹線を利用するにしても、夜行バスを利用するにしても終演時間を考えると厳しく、夜聴いて明朝帰ることになりますから、2日休みをもらう必要がでてきます。なかなか事業所に同意をとるのもひと苦労で、金曜開催のこの演奏会はなんとか聴くことができました。

シベリウスの交響曲第6番と第7番については、2016年に広響さんの演奏会で聴いています。なんと8年経つんですね……。

この日真っ先に感じたのは、とにかくあたたかみのある音だということ。

8年前に聴いた広響さんとの演奏では、もっと冷たい北欧の雰囲気があったような記憶があるのですが、今回はどこか優しく、そして明るさを感じます。押し黙った重苦しさより、冬を乗り越え春が来た雰囲気がただよっています。

フィンランディアは言わずと知れたド定番です。

初めて聴いたのは地元小学生向けの巡回演奏会でした。栗田哲海さんと九響さんだったかと思います。この景気のいい曲でシベリウスの名を覚えてしまったものだから、後年、交響曲第4番や今日演奏された6番、7番を初めて聴いたとき、衝撃をうけました。いまにして思えばこの曲を(歌手でいうところの)名刺曲がわりに扱うのは、よろしくない気もするのですけどね……。ヴァイオリン協奏曲や交響曲第2番で理解が止まってしまい、それ以降の深淵というか本領発揮の世界が見えにくくなってしまいます。

交響曲第7番は響きのなかにわけいり、さまよっているうちに終結を迎える、どこかとりとめのない雰囲気がよく出ています。8年前には感じられなかった優しさも感じます。音を足していくのではなく、どんどん引いていって残ったものが一つの曲にまとまったものと理解していますが、まさにそんな感じです。

交響曲第6番はメロディーの美しさだけで引っ張る曲ではありません。音の積み重ねのなかで自然を表現し、私たちを違う世界へ誘います。その雰囲気は充分出ていたのではないでしょうか。最後に消え入るように終わる瞬間、つい何回もうなずいてしまいました。

ロビーコンサートでは、広響さんの演奏会ではじめて聴いた「春の歌」が、コントラバス2本とチェロ2本の四重奏に編曲されて演奏されました。編曲版もメロディーがわかりよいものだなと思いました。だいいち、コントラバスってのが渋いですね(笑)