松村かえるの「かえるのねどこ」

旧「美風庵だより」です。

中部フィルハーモニー交響楽団 第90回定期演奏会「北欧シリーズ vol.3」

第90回定期演奏会 NAGOYAシリーズ3 | コンサート | 中部フィルハーモニー交響楽団

中部フィルハーモニー交響楽団 第90回定期演奏会「北欧シリーズ vol.3」

日時:2023年10月8日(日)15:00開演(開場14:00)

会場:三井住友海上しらかわホール

[出演] 
指揮:秋山和慶
管弦楽:中部フィルハーモニー交響楽団

[曲目]
グリーグ:ノルウェー舞曲 作品35
グリーグ:組曲「ペール・ギュント」第1番、第2番
第1番 第1曲「朝」
      第2曲「オーセの死」
      第3曲「アニトラの踊り」
      第4曲「山の魔王の宮殿にて」
第2番 第1曲「イングリッドの嘆き」
      第2曲「アラビアの踊り」
      第3曲「ペール・ギュントの帰郷」
      第4曲「ソルヴェイグの歌」

(休憩)

シベリウス:交響曲第5番変ホ長調 作品82

まずさきに書くと、たぶん我々遠征組のために来年の「北欧シリーズ」の予告がリーフレットに掲載されていました。

中部フィルハーモニー交響楽団 第92回定期演奏会「北欧シリーズ vol.4」
日時:2024年6月19日(水)18:45開演(開場?)
会場:愛知県芸術劇場コンサートホール
[出演] 
指揮:秋山和慶
ピアノ:石井楓子
管弦楽:中部フィルハーモニー交響楽団
[曲目]
グリーグ:抒情組曲 作品54
グリーグ:ピアノ協奏曲 イ短調 作品16
シベリウス:交響曲第4番 イ短調 作品63

中部フィルハーモニー交響楽団 第93回定期演奏会「北欧シリーズ vol.5」
日時:2024年9月27日(金)18:45開演(開場?)
会場:愛知県芸術劇場コンサートホール
[出演] 
指揮:秋山和慶
管弦楽:中部フィルハーモニー交響楽団
[曲目]
シベリウス:交響詩「フィンランディア」 作品26
シベリウス:交響曲第7番 ハ長調 作品105
シベリウス:交響曲第6番 ニ短調 作品104

中部フィルハーモニー交響楽団 第94回定期演奏会「北欧シリーズ vol.6」
日時:2024年11月7日(金)18:45開演(開場?)
会場:愛知県芸術劇場コンサートホール
[出演] 
指揮:秋山和慶
管弦楽:中部フィルハーモニー交響楽団
[曲目]
ハルヴォルセン:ノルウェー狂詩曲 第2番 ト長調
ニールセン:クラリネット協奏曲 作品57
シベリウス:交響曲第2番 ニ長調 作品43

来季は、2、4、6、7と目白押しです。2016年に広響さんで聴かせていただいた6番と7番は、すでに素晴らしさをわかっていますから、聴きに行かないテはありません。頑張って平日の空きをつくろうとおもいます。

この日、メインディッシュはシベリウスの交響曲第5番です。

はじめて聴いたのがヤルヴィ指揮エーテボリ響の録音だったかとおもいます(違うかもしれません)。そのとき以来、陸地の見えない海原に浮かぶ船が揺らりゆらり揺られながら、晴れと曇りを行ったり来たりして、どこか目的地にたどり着き、祝砲で終わる、というイメージがなぜかこびりついてしまっています。ほんとうは大自然を描写したものとしてとらえないといけないらしいのですが、弦楽器のさざめき具合が、波に聴こえてしかたがありませんでした。後年、十勝などをを訪問するまで(山がみえない)ただっぴろい大自然というイメージが経験になかったことも、あるかもしれません。

Symphony No.5, Op.82 (Sibelius, Jean) - IMSLP: Free Sheet Music PDF Download

3楽章の練習番号Qから、じわじわと盛り上がります。最後に祝砲が6発鳴る手前まで、シンコペーションで自分の耳がマヒする感覚をおぼえつつ、自然と涙腺がゆるんでいきます。9月のブルックナーもそうでしたが、頂点で自然と涙腺がゆるむような曲ではありません。もっと軽めの曲のはずなのですが、ここで聴こえるのは宇宙とか自然ともいうべき世界であり、曲を超えたなにかすら感じます。

予兆は、第1楽章の最後「piu presto」のあたりで感じました。ここを軽く引き飛ばしっぽく演奏していく演奏が多いなか、みっちりと音を積み上げ、あまりテンポをあげずに押し通します。

その結果の開放感は、なかなか味わえないものでした。大自然や明るさというより、もっと背後に在る感動そのものをつかみだしていきます。これを意図した秋山さんもさることながら、しっかりとついて行った楽員のみなさんも、素晴らしい。

訴えようとすればどうしても泥臭くなる、そしてその泥臭さを否定しない。9月のブルックナーもそうでしたが、こういう曲だよね?と、目のまえで模範解答を示してくれます。

ありがたいことにステージにはマイクが複数ありました。収録され、記録にのこります。自主制作盤CDになるのか、音源配信となるかはわかりませんが、いずれにしても待っていれば、こんどは記録で良さを再確認できるようになりそうです。

 

前半のグリーグは、描写的なわかりやすい音楽です。

「ノルウェー舞曲」もそうですし、「ペール・ギュント」もそう。「朝」は数十年経つのにいまだ某サラ金のCM(朝日が昇って日本中がサラ金会社のマークで埋め尽くされるやつ)が脳裏に映り、刷り込みとは恐ろしいものだとつくづく感じます(笑)

来季も楽しみです。まだ6月まで時間はありますから、しっかり旅程と平日休む言いわけをかんがえたいとおもいます。