松村かえるの「かえるのねどこ」

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中部フィルハーモニー交響楽団 第86回定期演奏会「北欧シリーズ vol.1」

第86回定期演奏会 NAGOYAシリーズ1 | コンサート | 中部フィルハーモニー交響楽団

中部フィルハーモニー交響楽団 第86回定期演奏会「北欧シリーズ vol.1」
日時:2023年5月27日(土)15:00開演(開場14:00)
会場:三井住友海上しらかわホール
[出演] 
指揮:秋山和慶
管弦楽:中部フィルハーモニー交響楽団
フルート:上野星矢
[曲目]
シベリウス:組曲「カレリア」作品11
ニールセン:フルート協奏曲
シベリウス:交響曲第1番ホ短調作品39
[ソリストのアンコール]
ニールセン:「子供たちがあそんでいる」 

5月27日、しらかわホールで中部フィル定期を聴きました。

今回から「北欧シリーズ」と題して、シベリウスの交響曲を中心にプログラムが組まれ、2年かけて交響曲全曲が演奏されます。

C.ニールセン/フルート協奏曲 - YouTube

ニールセンの「フルート協奏曲」は、洗足学園のyoutubeでこういう曲があるのかと知ったくらいで、実演は初めてです。あまり視力はよくないのと、今回、入場券の座席位置が指定できないタイプの販売方式だったため、1階席で、ステージのようすがよくわかりません。

ラッパの音がしないなぁ、とおもって帰宅後楽譜をみたらたしかに編成にトランペットを含まない曲でした。

ティンパニを従えて躍動する感じも楽しいのに、軽やかさや明るさの裏に、どことなく鋭さというか不安げな感じがただよう曲でもあります。帰宅途中、新幹線内でwikiを読んでいると晩年、何度も心臓に病気を抱えていた時期の作品とのこと。体調や精神の状況が、曲に影響しているのでしょうか。

シベリウスの交響曲第1番は、秋山さんの指揮で、2年前の九響定期で聴いています。

交響曲は2番が有名ですが、1番もじつはなかなかのものだったりします。

シベリウス:交響曲全集NO1~7、クレルヴォ交響曲 (3CD) [Import]

このシベリウスの第1番をおそらく初めて聴いたのが、(現在「旧盤」と呼ばれる)ネーメ・ヤルヴィ指揮エーテボリ響のシベリウス交響曲全集でした。「こういう曲もあるのか」くらいの感じだった気がします。なお、このCDセットでいちばん聴いたのは「クレルヴォ」でした(近場でどなたか「クレルヴォ」演奏してくれませんかね……こういう曲です)。

それからずいぶん間が空いて、2007年の演奏会を収録した中部フィルの自主制作盤を入手し、第1番もわるい曲ではないと見直したものでした。

今回の演奏、とうぜん自主制作盤に収録された2007年の演奏とは比べるべくもありません。

聴き比べると秋山さんのほうにブレはありませんが、なにせオーケストラの力量は格段に進化しているので、似たようなことをやっていてもまったく厚みと深みがちがいます。今回の演奏は、2年前の九響との第1番にも負けません。ホールの違いからくるのか、九響のときよりも細かい楽器のうごきがわかりますし、最後のピチカートが余韻をもって響きます。

今日は舞台にマイクが何本もありましたので、おそらく配信サイトや自主制作盤として発売されるのではないかとおもいます。

次回は7月に交響曲第3番です。シベリウスの交響曲をひととおり並べてみると、ちょうど過渡期にあたる曲で、明るく楽しい雰囲気も残しつつ、晩年の透明感もまたみえてきます。

シベリウスは1907年の年初から再びヘルシンキにて暴飲暴食に耽るようになり、途方もない金額をシャンパンとロブスターに費やした。彼のこの生活習慣がアイノの健康状態に深刻な影響を与え、彼女を極端な疲労による療養施設入居に至らしめた。妻が不在の間にシベリウスは禁酒を決意し、かわりに交響曲第3番の作曲へと意識を集中させた。作品を完成させた彼は9月25日にヘルシンキでの初演に臨んだ。古典的性格が増した作風は聴衆へ驚きを与えたが、フロディンは作品が「内面的に新しく、また革命的」であったと述べている。

ジャン・シベリウス - Wikipedia

こういうのを読むと、シベリウスには躁鬱があったのかもしれません。嫁さんがぶっ倒れるほど散財するってんだから……ねぇ。