2日の記録
ずっと「妖怪の孫」という映画が気になっていたのに、選挙でなかなか身動きがとれませんでした。上映している映画館もあまりありません。福岡市天神のkbcシネマなどで上映しているのは気づいていたものの、選挙後、収支報告書などでオタオタしていたら、見逃してしまいました。
いずれ有料動画配信サイトなどで取り扱いがあるでしょうし、待つ、という選択肢はとうぜんあったのですが、よそに行けば時期をずらして上映しているかもしれません。
あらためて公式ホームページをみると、どうやら佐賀市内に行けば、まだ上映しているようです。
行ってみなければなりません。
佐賀市内に自力で来るのはほんとうにひさしぶりです。
ここ最近は行きか帰りのどちらかは知人事務所のクルマに同乗して、他人が運転するクルマの助手席か、公共交通機関ばかりでした。
以前、知人事務所の仕事で来たときに利用したコインパーキングに停めて、歩きます。
おそらくもっと近くにいろいろ時間貸し駐車場はあるとおもうし、じっさいにいくつも見かけましたが、だれかと一緒にいちど利用したところが安心です。
5分ほど歩いて、映画館「シアター・シエマ」があるビルに到着しました。
土地勘がないためここがどこかよくわかりません。ただ、振り返るとなにやら神社かお寺っぽい場所がみえます。
佐賀県佐賀市松原2丁目 佐嘉神社・松原神社 - 美風庵だより
松原神社でした。鍋島家と龍造寺家を祀ります。
日記を検索すると、前回松原神社を訪問したのは2022年4月27日。1年ぶりにお招きにあずかったようです。
ここ最近、選挙を終えてからとくに、すぐ頭痛と鼻詰まりがして体調がよくありません。
映画を見終えて、来た道(国道34号)をせっせと甘木まで戻りました。
「妖怪の孫」
本文(2023.5.2掲載)
「ケチって火炎瓶事件」にしてもなんにしても、アベベウォッチャーとしてはどこかでみかけた話が多く、ひとつひとつの断片に新味はありません。しかし、それを約2時間詰め込んでまとめた作品となるとじつに興味深く、とうとう戦後政治はこういう化け物を生みだしたか、という感慨しかありません。
憲法はすでに死んでいる!
「アメリカ製憲法」は戦後日本に何をもたらしたか。このままでは日本は遠からず滅びるであろう!その理由は全て「憲法の死」に由来する。今日の大不況も、政治の混迷も、全ては「憲法問題」に帰結する。現代日本に起きている様々な問題を憲法とのリンクで捉え直す。
上記の小室直樹さんの本、別タイトルで出ていたものの再編集版です。タネ本の初版は2000年ごろだったかとおもいます。
第九十九条
天皇又は摂政及び国務大臣、国会議員、裁判官その他の公務員は、この憲法を尊重し擁護する義務を負ふ。
小室さんの本の最後は、みんなが大好き9条ではなく99条の解説で締めくくられます。この条文が、民主主義の根幹ルールを支配階級に守らせるキモであるからです。
映画では、自民党が改憲の目玉としてこの部分も取り上げている点を追及して終わります。
https://storage.jimin.jp/pdf/news/policy/130250_1.pdf
国民に憲法擁護義務を課す国といえば、なんと言っても共産圏やナチズムにひっくり返されるのを警戒した旧西ドイツです。先進国でほかに有名な事例はなく、自民党は中国の影におびえているのか、媚米の証として盛り込むのか、なぜかこれに御執心です。
あと、自民党改憲案は憲法を擁護し尊重する対象から天皇が除外されています。国民と公務員の枠外、つまり無答責の立場、生き神様の立場に戻ることになります。
映画のなか、小林節教授は「明治憲法まで法体系を巻き戻して、世襲議員の権力固定化をねらうもの」と主張されています。アベベ本人はそこまでかんがえていなかったでしょうが、すくなくともアベベを担いで改憲に利用した連中のねらいは、そこにあるのでしょう。
「民主主義」をどう解釈するかは一義的に決められるものではなく、場合によっては権力者(多数派政党など)によって濫用され、表現の自由が侵されるおそれがあり、また仮に国民が非民主的価値を受け入れた場合、国民の決定を否定するならそれこそ「民主主義体制の自殺」ではないのかという立場や、特定の価値に優劣をつかないという価値相対的な立場からも反対がされ、採用している国は多くない。
映画のエンディングをながめていて「たたかう民主主義」をふとおもいだします。
これ、ナチズムと共産圏に脅かされながら民主主義?体制を運営していた旧西ドイツならではのものなんですが、これが当てはまるとかんがえるほどなににおびえているのか?自民党さんの被害妄想もたいがいにしてほしいとはおもいます。
とはいえ、こういう批判めいたことをいうとカウンタが激減しますし、google adsenseのお小遣いも減ります。
どうやらいろんな意味で諦めるべき時代がきたのかもしれません。
あともう一点。
これ、アベベ長期政権の原因は、民主党の素人政権運営に起因するって、制作者側はわかってるんでしょうか?どうせアベベを取り上げるなら、うんざりして自ら権力を放り出した野田佳彦はじめ、宇宙人だった鳩山由紀夫ほか、迷走させたみなさんもしっかり断罪すべきでしょう。ぜひ次回作は、民主党政権崩壊で。
追記(2023.5.3掲載)
1977年のソビエト連邦憲法には抵抗権の規定はない(東アジアの例になるが現行の中華人民共和国憲法にも抵抗権の規定はない)。「社会主義体制を擁護する義務」はどちらにも規定されているが、「何が社会主義であるか」の解釈権は指導政党たる共産党が独占するため、人民が「現在の体制は社会主義から逸脱している」として抵抗権を行使する余地は憲法上存在しない。
朝起きてふとおもいだしたので追記しておきます。
自民党さんの改憲案、あれほど反共と吠えておきながら、じつは国民の「体制擁護義務」を明記した時点で、嫌いなはずの共産主義者とやっていることは同じなわけです。
赤い貴族のための政党を攻撃しながら、けっきょく、天皇をかつぐ世襲貴族のための政党と化しつつある。つまり、共産主義のなにが問題かと言うと皇室が維持できないから反対と言っているわけで、民主主義とか資本主義とかそういう体制との折り合いすら考慮されていません。
そして、そういう基本的な政治学や経済学をきちんとおしえてくれるひともいない。
いやぁ、世も末だとおもいますね。いまの学生さん、可哀想。