美風庵だより

幻の花散りぬ一輪冬日の中

嘉麻市上山田 射手引神社

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数年前、現代美術の絵馬を眺めに訪問したのが最後でした。
場所は知っていましたが、すぐに行けると思って、なかなか足が向きませんでした。

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駐車場に車を停めて、石段の前に立ちます。鳥居の両側に、香椎宮貴船宮の社号標があります。
江戸時代に香椎宮貴船宮を合祀して出来たのが射手引神社で、案内板にある由緒等を以下に記載します。

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御祭神

香椎宮
神功皇后
仲哀天皇
中筒之男命

貴船
闇淤加美神
淤加美神
天手力雄

御由緒

当神社は、古くは香椎宮貴船宮と称し各々別の神社で、香椎宮は尾浦に貴船宮は柿木に鎮座あったものを、宝暦十年(一七六〇)十一月三日両神社を合祀し、現在地に社殿を改築し一社となし、社号を射手引神社と改称しました。

(社伝)古処の山麓や当地に住する羽白熊鷲なるもの良民をさいなむ。神功皇后これを討伐されるおり難渋され給う。貴船宮の社に休らい給いて、天手力雄命を祀り給い弓矢の加護を祈り給う。

雲々の間の光と共に天手力雄命、天の射手を率いて御加勢給いて征伐かなう。

神功皇后貴船の神々に天手力雄命を祭神に加え祀り給う。

後に、里人香椎宮より御祭神を戴き尾浦の地に祀り給う。

(案内板より)

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「弓をひくのに天手力雄の加護を祈った」という点が、初めて訪問したときもずっとひっかかっていました。

天手力雄といえば、天照大神の岩戸隠れのとき、力でこじあけて天照大神を引っ張り出した怪力の持ち主です。相撲の神様とされます。それが、弓です。なにかの間違いじゃなかろうかと漠然と考えていました。

神社めぐりをして、ネットや資料に触れるうちに、おそらく天手力雄スサノオの別名ではないかと考えるようになりました。

出雲大社の縁起物に「生弓生矢」というのがあります(画像はgoogle検索ですぐ出てきます)。大国主スサノオが授けた弓を模したものです。

天照大神スサノオにうんざりして岩戸隠れしたのに、こじ開けて引きずり出したのもスサノオなのか?と疑問に思うかたも多数いることでしょうが……。

幟旗や拝殿には、五三桐紋があります。これは神功皇后がもちいられた紋です。本殿の屋根にもしっかりとついています。御祭神はいろいろ並んでいますが、ここは神功皇后がメインだと訴えています。

(旧)香椎宮の御祭神に、中筒之男が居ます。中臣烏賊津使主とも言い、彼は住吉三神のひとりで、玉垂宮神秘書では、のちの崇神天皇と伝えています。

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審神者 - Wikipedia

審神者(さにわ)とは、古代の神道の祭祀において神託を受け、神意を解釈して伝える者のことである。

(略)

日本書紀』の神功皇后9年(209年)3月には、皇后が自ら神主となり、武内宿禰に琴を弾かせ、中臣氏の祖と伝えられる中臣烏賊津使主を審神者としたと記されており、福岡県久山町の審神者神社が祭神として中臣烏賊津使主を祀っている。

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中筒之男は、審神者でした。

神功皇后三韓征伐を告げたご神託というより、安曇磯良、崇神天皇、玉垂命(=武内宿禰=のちの筑紫君)が、神功皇后に意見して物事を決めたのでしょう。

玉垂命はどちらかと言えば様子見だったことも、日本書紀の記述から、わかります。

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天手力雄スサノオですよ、という暗示は、境内の大きな祇園社須賀神社)にもあらわれています。おそらく、この地域の住民のかたは、同じだということに気づいていたのでしょう。特別な功績のあったスサノオを、別格でまつりあげています。

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そしてこの神社には、もうひとつ重要な仕掛けがあります。裏山の天神社の存在です。

以前訪れたときは、天神には菅公と、埴安神ことタノカンサー(大幡主)の2種類が居ることすら気づいていませんでした。

社殿を見下ろす位置にある天神社は、ふつうならタノカンサーとして大幡主を祀るものだと理解すればよいでしょうが、祠にしっかりと波と花菱が隠されています。

 玉垂命(筑紫君)は、わかる人しか訪れない、離れで別荘暮らしの真っ最中というところでしょうか。

(2019.07.07訪問)