山田松香木店「翠風(極品)」「紫雲」「彩雲」
11月1日は事業所の関係で福岡市内に出ました。
先週につづきまともな仏壇屋さんに足を踏み入れます。先週店内を徘徊し「以前ここに山田松さんの商品があったはずだけど?」と声を掛けた店員さんが顔を覚えておられました。2、3年足を踏み入れていないうちに店内の棚卸や模様替えがあると、迷います。
今回は3種類短寸を買い求めました。バラ詰めだとひと箱4,000円~6,000円しますから、とても現在の困窮ぶりでは手が出ません(笑)
前回感想を書いた「鴬梅」と「翠風」はお通夜・葬式・初盆のお供え用としてのし紙+包装してもらった状態で切らさないよう常備しているのですが(ひとの死に備えるとは我ながら不謹慎な……)、このクラスはほとんど買うことはありません。
たいへんお世話になったかたの初盆用に包装してもらい、そのついでにもう一つ買って試したことがある程度です。
「紫薫」や「彩雲」は沈香主体のやわらかい香りがします。「紫薫」のほうがおとなしめの香りです。「彩雲」のほうが明るめ、むかし羅国やシャム沈香の判別でならった「綿菓子っぽい軽い甘さ」or「べっこう飴感」に近い感じがします。
「彩雲」と比べてみれば「紫薫」のもつ辛味がわかるのですが、明確に辛味が強調されているかといえば、ほんのわずかです。調合された沈香の辛味より、背後から聞こえる生薬の香りとあいまって「紫薫」は辛味をほのかにきかせた爽やかな感じに仕上がっています。
トータルのバランスでいけば「紫薫」より「彩雲」のほうが評価は上でしょう。ただ、線香は寺できく線香の香りが基準となり、きりりとする辛味を好むひとは私含め居ますから、判断はむつかしいところです。
「翠風(極品)」は、「紫薫」や「彩雲」より沈香のランクは落としてある代わりに、さまざまな生薬を組み合わせた厚みを感じます。「翠風」の「極品」なら「翠風」に配合した沈香のグレードをあげたんだろうとつい考えてしまいますが、全体の濃厚さ重厚さがちがいます。ほかの生薬や沈香の傾向を変えて、同じ路線でより香りをくっきりとさせた感じです。むかしから「翠風(極品)」はいいと(マニアのなかでは)評判でしたが、評判通りのすばらしさを再確認します。
「紫薫」のほのかな辛さと上品さ。「彩雲」の綿菓子っぽい甘さ(おそらくシャム沈香とか羅国と呼ばれるもの)がある明るい香り。「翠風(極品)」の重厚さ。どれがよいか甲乙はつけがたい気もしますが、個人的には「紫薫」にひかれます。