第77回定期演奏会 NAGOYAシリーズ3 | 中部フィルハーモニー交響楽団
中部フィルハーモニー交響楽団定期演奏会 第77回定期演奏会 NAGOYAシリーズ3
2021年10月24日(日) 15:00開演 14:00開場
会場:三井住友海上しらかわホール
指揮:秋山和慶
ヴァイオリン:郷古廉ベートーヴェン:交響曲第6番ヘ長調作品68「田園」
ベートーヴェン:ヴァイオリン協奏曲ニ長調 作品61
最初、ヴァイオリン協奏曲のあとに「田園」と発表されていたのですが、しらかわホールの入り口で開場を待っていると、曲順が変更になっているのを知りました。
たしかに、盛り上がって終わるほうがよい気もします。このあたりは、だいぶ悩んだのではないでしょうか。
「田園」は演奏(指揮)する側も難しく、聴く側も難しい曲です。
良い意味でベートーヴェンのひねくれ精神というか、負けん気が横溢しています。
自然を描いた標題音楽という解説が多々ありますが、それでは曲を見誤ります。
第1楽章はどこか室内楽のようなこぢんまりとした感じではじまるのに、第3・4・5楽章はまさに大交響曲です。この両者をつなぐのが第2楽章で、これをどう聴かせるかが、腕の見せどころだったりします。
そして、さらに難しさに輪をかけるのが第5楽章の終わりで、感情としてはピークなのに、音としては小さくなっていきます。音の大きさと、圧倒的なフィナーレ感は必ずしも一致しません。
これまで秋山さんや朝比奈さんをはじめいろいろと聴いてきましたが、2つに分かれるように感じます。ひとつは朝比奈さんのように後半を念頭に前半を処理するやりかたです。ふたつめは、前半・後半を第2楽章で受け渡すやりかたで、秋山さんはそうしているようにみえます。
「フェスタサマーミューザKAWASAKI2020 東京交響楽団 ベートーヴェン生誕250年~秋山和慶の「田園」&「運命」~」 - 美風庵だより
秋山さんで「田園」を聴くのはほぼ1年ぶりなのですが、おそらく今日の中部フィルの演奏のほうが、指揮者の意思と配慮をすみずみまで感じることができたと思います。創立20周年演奏会をこのまえ聴いたわけで、けっして若い団体ではないはずなのですが、出てくる音の若さは、群を抜いています。そして、なんといっても真剣です。
秋山先生、中部フィルの皆様とのベートーヴェン、終わりました。しらかわホールだからこその表現ができたと思います。沢山のご来場ありがとうございました。
— 郷古廉 Sunao GOKO (@sunaogoko) 2021年10月24日
ちなみに1楽章のカデンツァはブゾーニでした👍
聴きなれない音がするとおもったら、ブゾーニというかたのカデンツァがあるのですね。ヴァイオリン協奏曲もたいへん興味ぶかく聴くことができました。どうやらシゲティの録音にこのブゾーニさんのカデンツァがあるらしく、機会があれば聴いてみようと思います。
しかし、それにしても残念なのは、舞台に録音マイクがなかったことです。これだけの田園なら、自主制作盤で出しても、けっして恥ずかしくないと思うのですけどね……。