山田松香木店「沈香華洛」「鴬梅」「翠風」
我が家には仏壇はありませんが書斎をはじめ空気のよどみをとるため、開けられる窓をぜんぶ全開にして線香を毎日1~2回消費します。
むかしは高めの価格帯のものでも平気で使っていたのですが、現在のように古事記級の貧困者ともなると、そうはいきません。かといって数年使っていた孔◎堂さんの「仙◎香」は2年ぶりにまとめ買いすると使っている炭の品質がかわったのか煙でむせます。どうもカメ◎マに買収されてから、よくないですね……。
しばらく日香さんのお線香でしのいでいましたが、やっとまともな仏壇屋に行くことができました。山田松さんの製品を3種買い求めます。山田松さんは通夜・葬式・初盆のお供え用に初盆の時期にまとめ買い(をい)して常備しており、御霊前・御仏前といっしょに持参するようにしています。今回購入した3種とも、すでになじみの香りです。
「沈香華洛」は、沈香の香りとしてイメージされやすい砂糖を焦がしたような香ばしさがあります。タニとかボルネオとかインドネシア産とか言われる種類の沈香の苦みが上手く生きています。ただ、値段が値段だけに香りが薄いのをどう考えるかです。私はまったく気にしませんが、日香さんや松◎堂さんのようにケミカルや沈香から抽出したオイルをのせて化粧したもののほうが、世間ウケするのはたしかです。漢薬やターメリック由来のカレー的辛味がないので、香りの印象は薄いかもしれません。
「翠風」はながいこと御霊前・御仏前といっしょに持参してきた線香で、沈香の香りに龍脳?からくる甘さがのっています。価格帯としては日香さんだと「伽羅永寿」、梅◎堂さんだと「聚香國」あたりが対抗馬ということになるのでしょうが、「伽羅永寿」ほどケミカル頼みで薄くなく、「聚香國」のように丁子などが主張するこってり感はありません。日香さんは上級価格帯(むかしでいう「特選伽羅大観」や子会社天薫堂さんの「薫林」以上の価格帯)でないと原料のバラツキをごまかすためのケミカル多用が目立ちますから、なかなかどこの家にも置いて帰りにくいところがあります。そういう点で、こちらのほうが万人受けしやすく使いでがよいのは確かです。
安いけれども安さを感じさせない商品設計はさすがだという気がします。
「鴬梅」も、御霊前・御仏前といっしょにお供えに持参する線香です。
梅◎堂さんの「好文木」でも日香さんの「毎日香」でも、なにか主張するメインがあるのですが、この「鴬梅」にはそれがありません。
お香 ナチュレンス オリエンタルマインド スティック40本入 | 日本香堂公式オンラインショップ
お香 ナチュレンス カームナイト スティック40本入 | 日本香堂公式オンラインショップ
傾向としては、日香さんのこのシリーズが思い浮かびます(むろん完全に同じではありません。念のため)。かっ香(パチョリ)、ベチバー、カモミールといったものがメインのやさしい香りです(あくまでも鼻センサーがそう感じたというだけで、実際の調合は知りません。念のため)。梅がほころびやがて春が来ると言われればそうかもしれませんが、どちらかといえば目をつむって考えにふけるときの香りです。
個人的には好みなのですが、なかなか山田松さんは取り扱っている店が少ないのが難点で……。