松村かえるの「かえるのねどこ」

旧「美風庵だより」です。

実家に出かける前の遠吠え

ほんとうはずっと上京しっぱなしの予定だったのですが、未解決の相続問題について、ほかの出席者が津々浦々から集合するため、福岡にいちど戻ってきております。

朝、なにげに新聞やメール、ブログをチェックしていておもったのですが、

高等遊民 - Wikipedia

高等遊民(こうとうゆうみん)とは、日本で明治時代から昭和初期の近代戦前期にかけて多く使われた言葉であり、大学等の高等教育機関で教育を受け卒業しながらも、経済的に不自由が無いため、官吏や会社員などになって労働に従事することなく、読書などをして過ごしている人のこと。 

むかしから「高等遊民」というのは一定数存在していました。

はい、これ、いまでいえば「NEET:ニート」ってやつです。セミリタイア組やFIRE組も、年齢はずいぶん上ですが、このカテゴリにあてはまるかもしれません。

親のすねかじりであったり、自分の資産で生きていくのですから、これじたいはなんら問題はありません。資本主義は消費(需要)がなければ労働(供給)はないので、かれらも社会に彼らなりには参画しているといえるからです。

労働は尊いとかいろいろもったいぶって言うかたはいますが、どうかんがえても実感としては、小原庄助さんみたいに朝寝朝酒朝湯のほうが、よっぽど労働より楽しいのはあきらかです(「会津磐梯山は、たか~らのやまあ、よー」ですね)。これで身上をつぶさずに済むなら(破産に至らないなら)、素晴らしい生きかたのひとつでしょう。

問題は、親のすねがかじれなくなったとき、自分の資産が枯渇したときに、彼らをすくう必要があるかどうかです。それが「嫌だ」「キリギリスは勝手に死ね」というなら、彼らをすくう義務はないことを、制度化する必要があります。

「何もしない人の分なぜ払う」/医療費で麻生首相が発言 - 京都府保険医協会

麻生太郎首相が11月20日の経済財政諮問会議で、「たらたら飲んで、食べて、何もしない人(患者)の分の金(医療費) を何で私が払うんだ」と発言していたことが26日に公開された議事要旨で分かった。

20日の諮問会議では、社会保障制度と税財政の抜本改革などを議論した。首相は同窓会に出席した経験を引き合いに出し「(学生時代は元気だったが)よぼよぼしている、医者にやたらにかかっている者がいる」と指摘した。
その上で「今になるとこちら(麻生首相) の方がはるかに医療費がかかってない。それは毎朝歩いたり何かしているからだ。私の方が税金は払っている」と述べ、努力して健康を維持している人が払っている税金が、努力しないで病気になった人の医療費に回っているとの見方を示した。

ひとむかしまえ、麻生さんが首相だったころに問題発言としてマスゴミが取り上げた話ですが、ある意味正しい発言です。互恵互助の行き過ぎがありはしないか、高等遊民撲滅をいうなら、きちんと問題の根底を認識すべきです。

“月7万円支給で年金も生活保護も不要” 竹中平蔵氏のベーシックインカム論は正しいか | 毎日新聞

毎日新聞 2020/10/4 12:00
月7万円を支給する代わりに年金も生活保護も必要なくなる――。元経済財政担当相でパソナグループ会長の竹中平蔵氏(69)がBSの報道番組でこんな「ベーシックインカム」を披露した。

個人的には月7万円を支給するくらいなら、税金をさげろ、とおもいます。

そして義務教育のすべての教科書に、

・天は自ら助くる者を助く

・働かざる者食うべからず

・労働は自由への道(自由を欲すればまず働け)

・地獄への道は善意で舗装されている(善意の裏の悪意を読め、ひとを疑え)

としっかり表紙に掲載して、教えるべきです。

 

……まぁ、すべて個人の責めに帰す社会が生きにくいのはたしかですが、それが嫌なら、ある程度の高等遊民の発生には目をつむるべきです。

 

さいきん流行のベーシックインカムとかいうわけわからん話は、給付のある累進課税制度とかんがえれば、これはこれでアリなのかもしれません。国民みんなに申告させて、金持ちから税金を取り、貧乏人には給付をする制度の変型版です。全員に7万円配って、税制いじって金持ちから同額以上収奪すればよいわけです。或る意味、究極の再分配となります。

ただ、これをやったら、国家が終わります。

ソ連崩壊を知らない世代が増えたせいもあるのでしょうが、本人の成績がよければ行きたいところまで大学だろうと大学院だろうと学校にほぼ無償で行ける社会は、計画経済の破綻でぶっ壊れました。計画未達をいちいち処刑していたら人口が減りすぎて社会が成り立たなくなるので、途中から「達成できる計画を組む」ようになり、結果、低成長にあえぎ資本主義諸国に後れをとります。

働いても働かなくても給料がもらえ、働いてもそれが給料に反映しない社会だとどうなるか。上から下まで副業(賄賂・泥棒・所得隠し)に血道をあげるようになり、例えば穀物輸送の途中で2~3割減る(関係者がくすねる)社会となり、破綻しました。

 

これの記憶があったら、うかつに行き過ぎた互恵互助をかんたんには口にできないとおもうのですけどね……。もう1991年のソ連崩壊なんて、学校でもきちんと反面教師として教えていないのでしょうね……。