志賀社
志賀神社(しがじんじゃ)
大海神社に並列、西面して鎮座し、一つの社殿内に三座(ワタツミ三神)が並祀されています。
このワタツミ三神は住吉大神であるツツノオ三神と出現を同じくし、海の神として表裏一体の関係とされています。
ツツノオ三神が主として航海、港湾守護の神であるのに対し、ワタツミ三神は海そのものの霊威と持つ神として信仰されてきました。
祭神
・底津少童命 (そこつわたつみのみこと)
・中津少童命 (なかつわたつみのみこと)
・表津少童命 (うわつわたつみのみこと)
玉垂宮神秘書では、鵜葺草葺不合命(うがやふきあえず)の子は二女三男あって、そのうち女性2名が表津少童神と仲津少童神とあります。男性3人のうち大祝の先祖である安曇磯良(表筒男尊)を底津少童神とし、この3人が少童神三神だとしています。
中筒男尊(崇神天皇、ただし神秘書では神武天皇)と底筒男尊(高良玉垂命)は別扱いです。文中に記載はありませんが、おそらく、実子と義理の子(弟子?部下?)の違いによるものでしょう。
この志賀社は、住吉三神のくくりから外れた表津少童神と仲津少童神のためにあると考えます。
種貸社
たくさんのかたが参拝されており、近場で撮影できませんでした。
このお宮は大海神社や志賀社とだいぶ毛色がちがい、えらく立派なお稲荷さんだなぁと考えていたら、1655年に多米神社が境内に遷座してきたものとのこと。
種貸社(初辰まいり巡拝社)
初辰まいりにて一番目にお参りする神社で『延喜式』神名帳、『住吉大社神代記』に多米神社と記載されている歴史のある古社です。
これも元は相当な古社であるようです。
大神宮
ここは伊勢神宮の遥拝所とされています。しかし、大神宮といいつつ三階松が彫られており、三階松は宮地嶽信仰や北野天満宮でずいぶんとみただけに、どうも気になります。方角的にはたしかに伊勢を向いているのでしょうが……。
楠(王へんに君)社
商売発達・家内安全の神様
初辰まいりの中心的な神社で「はったつさん」と親しまれ、古くより商いを営む方から篤い信仰を受けています。
神社は祭神に宇迦魂命、つまりお稲荷さんを充てています。ただ、キツネさんというより、辰なら白ヘビさん信仰ではないかという気もするのですが、どうなのでしょう?
五社と招魂社
画像左手が「五社」とされています。祭神は「神主七家祖神」とされ、神社創建にかかわった田裳見宿禰の子七人が祀られています。画像左から、神奴社、大宅社、高木社、津社、狛社、板屋社、大領社です。一枠にひとつの扁額があるところもあれば、ふたつ掲げられているところもあります。
画像右手は「招魂社」で、もとは神仏習合時代の護摩堂だったとのこと。累代の神職と社人の霊を祀るお宮としてつかわれています。
后土社
后土社は「ごうどしゃ」と読むようです。案内板では土御祖神を祀るとあり、誰のことかと読みすすめると、神域全体を守護する神、つまりこの土地の地主神のことなのです。
「后」を「きさき」と読みつけているので女性とおもいがちですが、漢和辞典をひけばわかるとおり、まず第一義は、君主・帝王のことです。これだけの神社を建て、維持してきた名族なら自分の土地だと主張してよさそうなものですが、上位の権力(神)を認めている点に、興味をおぼえます。
星宮
星宮という社号をみて妙見宮なのだろうとおもいこんでいました。あとで資料をみると、御祭神は国常立命です。国常立命とは、大幡主、博多のお櫛田さん、神皇産霊神、埴安命、塩土老翁のことで、天之御中主(白山信仰では菊理姫命)の弟でもあります。
大海神社や志賀社の近くに、縁故者として彼らの祖父?にあたる人物が祀られています。あくまでも推測ですが、大海神社の御祭神を豊玉彦・豊玉姫としたための玉突きこじつけで、ほんとうは妙見宮なのだとおもうのですが、どうでしょうか?
歴代神主を祀るお宮と、八所宮、新宮社
招魂社の向かって右側には、神主を祀るお宮が3つ並んでいます。
画像左から順に、
薄墨社 祭神 第39代神主津守国基
斯主社 祭神 第43代神主津守国盛
今主社 祭神 第48代神主津守国助
とされ、案内板には「中興の祖」「源頼朝と祖父を同じくし源氏興隆に寄与」「文永弘安の役で外敵降伏の祈請著しく」とあり、さすが都のお宮というべきか、政治中枢にずいぶんと関与してきたことがみてとれます。
神主を祀る3社の右隣には、スサノオさんを祀る八所社と、熊野信仰の新宮社があります。新宮社の案内板には「旧津守王子社」と敢えて書かれているところをみると、たんに熊野信仰を勧請してきたものではなく、それ以上の結びつきがあることを示したいようです。
過去の訪問記録
大阪府大阪市住吉区住吉2丁目 住吉大社 再訪(1) - 美風庵だより
大阪府大阪市住吉区住吉2丁目 住吉大社 再訪(2) - 美風庵だより
大阪府大阪市住吉区住吉2丁目 住吉大社 再訪(3) - 美風庵だより
訪問当日の様子はこちらに掲載しています。
(2022.06.26訪問)