松村かえるの「かえるのねどこ」

旧「美風庵だより」です。

福岡市南区警弥郷3丁目 警固神社


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住宅地の中にこんもりとした森があり、すぐ場所の見当がつきました。

正面側にまわりこみ、目の錯覚かとうたがいました。

錯覚でもなんでもなく、鳥居や本殿の背丈に比して、拝殿が高く、見上げるようです。

拝殿の背丈がたかいため、扁額の位置も見上げる場所になります。もしかすると、背を高くすることで、社殿を大きくみせる効果をねらったのかもしれません。

警固神社由来記

一、鎮座地 福岡市南区警弥郷三丁目(旧上警固)
一、御祭神 神直日神 大直日神 八十禍津日神

警固大明神記録に「警固神社は昔那珂郡警固村に祀ってあったが、神功皇后が遠征の際に勝利を祈り、この三神を外敵防護の為下警固村の福崎に祀られた」とある。那珂郡警固村が当地であり、下警固村福崎は黒田長政公が福岡城を築く時その敷地となったので宏荘な社殿を建立して遷し祀られたのが現在天神二丁目の警固神社である。このように下警固の神社より古くから此の地に祀られていたのが、当警固神社である。下警固の方は歴代藩主の尊崇厚く造営修繕等から神事に至るまで藩庁からの公費が支給されたが、こちらは上警固村の氏神であり数少ない氏子の農民で祭り継がれてきたのである。筑前続風土記の上警固の項に「村名は警固神社のいますによりてか、又は警固田の置かれし故に言えり」とあり、また三代実録に「警固武衛の必要があり警固田からの租税を警固所の雑用に当てた」とある。祭神三神とも疾病災厄罪科を祓いて禍を転じ幸福となし、悲しみを変じて吉慶となし給う崇高なる御神徳にて国家安泰社会浄化の守護神として崇敬篤きなり。

現地案内板によれば、福岡市天神の西鉄福岡駅や天神高速バスターミナルの裏手にあるあの警固神社の元宮にあたる神社とのこと。

宗教法人 警固神社

警固神社 - Wikipedia

社名及び周辺の地名である『警固』はかつて鴻臚館(こうろかん。6世紀ごろにあった海外からの使者をむかえる国立の迎賓館。()内は引用者注記)にあった役所『警固所』に由来する。

つまり、鴻臚館の警備を行っていた役所を運営するための田(領地)がこの警弥郷の地にあり、そこにあった神功皇后ゆかりの神社を黒田長政公が誘致し、福岡城下の守り神として分霊を維持・崇敬したのにたいして、連れていかれた本家本元は、地元の農民が頑張って守り抜いてきた、というわけです。

直毘神 - Wikipedia

日本神話の神産みにおいて、黄泉から帰ったイザナギが禊を行って黄泉の穢れを祓ったときに、その穢れから禍津日神が生まれた。この禍津日神がもたらす禍を直すために生まれたのが直毘神である。(略)『日本書紀』第五段第六の一書では八十枉津日神が成った後に神直日神(かみなほひのかみ)大直日神(おほなほひのかみ)の二柱の神が成ったとしている。

まだこの大直日と神直日が誰のことなのかわからないのですが、少なくとも、八十枉津日神が否定された側で、現王朝(崇神王朝・現皇室)側が大直日と神直日ということくらいは、わかります。

現王朝側が祖としてずいぶんと持ち上げてきたのが高木大神(高皇産霊神)・天照大神(卑弥呼)・天之忍穂耳(天児屋根命)であることを考えれば、彼らの血統に属するのが大直日と神直日で、彼らが敵視した国つ神・出雲・長髄彦(ながすねひこ)の血統に属するのが、八十枉津日神ということなのでしょう。

注連掛柱にある下り藤の紋は、どこ由来のものなのか、気になります。

境内には、天満天神社もあります。

この天満天神は菅原道真公を祀る神社である。昔は今の薬師堂のある場所に祀ってあったが昭和十八年大火災の時被災を免れたのである。そして火災跡の区画整理の時に此の境内に移して、跡地には近くにあった薬師堂が建てられている。
昭和六十一年十月警固神社と同時に天満天神堂も新築再建した。昔から天神様は農耕の守護神として農村の各所に祀られていたのであるが菅原道真公が学問の神として崇敬されて、今では学業進学の祈願に霊験あらたかな神として崇拝されている。

なかを拝謁させていただくと、どうも仏さんを祀っているのでは?とおもわせるデザインです。

境内には「火結神」の扁額で軻遇突智命(かぐつち)も祀られていました。秋葉神社(秋葉権現)だったのでしょうか?

福岡県神社誌:中巻54頁
[社名(御祭神)]警固神社(神直日神、大直日神、八十枉津日神)
[社格]村社
[住所]筑紫郡曰佐村大字警弥郷字堂前
[由緒]不詳、明治五年十一月三日村社に定めらる。
[境内社(御祭神)]菅原神社、大字警弥郷字七反田に無格社として祭祀ありしを大正元年十二月三日移転合併許可。
[摂社(御祭神)]記載なし。
[末社(御祭神)]記載なし。
(2022.06.23訪問)