松村かえるの「かえるのねどこ」

旧「美風庵だより」です。

カメヤマ/孔官堂「吟撰仙年香」

カメヤマ 吟撰 仙年香 平箱 孔官堂

吟撰仙年香平箱|カメヤマローソク直営販売店 | キャンドル キャンドル・雑貨の通販

百十余年の伝統をもつ「仙年香」のさわやかで気品のある香りはそのままに最高級の沈香をきかせ、9種もの漢方・生薬をふんだんに加えた懐かしくて新しい香りに仕上げました。

孔官堂といえば、ひと昔前は日本一の線香屋さんだった時代があります。

【トップの素顔】小仲正久 日本香堂ホールディングス会長兼CEO(12) (2/2ページ) - SankeiBiz(サンケイビズ)

次第に若手の強硬路線が強まっていきます。29歳だった私も同意見でした。ここで孔官堂の要求をのんだとしても、いずれ同じ事態が起きないともかぎらない、退路を断つしかない、とも考えました。父は、こう最終決断をしました。「これからは若い人の時代だ。この会社を動かしていく若い人たちの決断を尊重しよう」孔官堂と手を切り、完全分離・独立を決めた瞬間でした。

決別した日本香堂(当時は東京孔官堂)に首座を明け渡し、こんどはカメヤマ(旧 カメヤマローソク)に買収されることになります。

会社合併に関するお知らせ
カメヤマ株式会社は、昨年の11月に株式会社松竹堂香舗、本年2月に一般社団法人日本キャンドル協会、そして本年5月に株式会社孔官堂より株式を譲り受けることにより、上記3社を子会社としたカメヤマグループを形成いたしました。

そのため現在、仙年香の発売元はカメヤマとなっています。

外箱も垢ぬけましたが、開封してもこじゃれています。

孔官堂というむかしの社名は、落款印の「孔」「官」に使われているのみです。カメヤマというとどうしてもマレーシア製の安い線香というイメージがついてまわるからとはいえ、箱を開封しないとメーカー名がないってのは……。仙年香という名前みりゃわかるだろ、ってことなんでしょうが。

「最高級の沈香をきかせ」、「9種もの漢方、生薬」をもちいて「新たに調香」とあります。

孔官堂「特撰仙年香」 - 美風庵だより

どのようなものか火をつけてみました。

カメヤマに買収されるまえに発売の「特撰仙年香」と名前は似ているものの、ずいぶんいじってきたと感じます。

「特撰」は、仙年香の丁子を控えめにして、沈香オイル(天然?合成?)でまろやかさを出したものでした。

かたやこの「吟撰」、「最高級の沈香を利かせ」というほど沈香を強調していません。炭粉をふやして線香の燃焼温度を上げ、むしろクローブの背後には桂皮からくる甘さを増やしており、香り立ちがはっきりしています。

おそらく、仙年香ではなく、新仙年香をベースとして想定しているようです。

新仙年香は仙年香の「煙の少ない」バージョンとさらりと説明されることが多いのですが、炭粉を混ぜて燃焼温度がかわると香りが揮発するタイミングもかわりますので、香料の配合割合もかわります。「特撰」のようにクローブをおさえて沈香(オイル)で甘さ?を出すのではなく、「新仙年香」ゆずりのクローブに桂皮を増量して、背後に沈香を利かせたるという発想は、妙な残り香もなく、新鮮です。