美風庵だより

風にちる 花のゆくえは 知らねども

5月18日の日録

「シン・ウルトラマン」2回目

5月17日の日録 - 美風庵だより

すでに昨日いちど観たのですが、どうも話の筋がよく呑み込めません。

水曜日は1,200円のサービス料金ということもあり、今度は博多駅にある映画館でもう1回観てきました。好きですね。はい。不器用ですから(笑)

今日再見して気づいたのは次の点です。

  1. ウルトラマンは、光の星から地球人類の監視者・裁定者として来訪している。何しに来たのかようわからんとおもっていましたが、理由はありました。
  2. 来訪時、地上に降り立った衝撃波で死なせた男性(神永)と融合します。自らを犠牲にして他人を助けるという思考に興味を持ったのが理由だと、のちにあかされます。この神永という男性が、原作でいうハヤタ隊員なわけです。
  3. 死んだ男性の身体を乗っ取っているが、知識や経験は完全に引き継がれないようで、「群れ」「集団」「仲間」「buddy(相棒)」という概念を理解できません。「来ているものも食べるものもだれかが作ってくれているから生きられる。社会のなかで生きている」と指摘されて理解します。国語辞典やら図書館の蔵書(レヴィ=ストロースの「野生の思考」……構造主義ですね。哲学書です)やらとにかく読破しまくって、自分が来訪した世界を理解しようとします。まさかウルトラマンで「人間は言葉で出来ている」と実存主義哲学の教えが実践されようとはねぇ……。
  4. かたや、ほかの宇宙人(この映画では「外星人」)の侵略もはじまります。もともと過去の侵略者が残した旧式の生物兵器(いわゆる「怪獣」この映画では「禍威獣」)をけしかけていたものの、それらが自衛隊の総力戦で倒されると、より新式の生物兵器を3体導入して、うち2体は自衛隊とウルトラマンにより破壊されます。
  5. この怪獣を操っていたのが山本耕史演じるメフィラスで、ウルトラマンが変身するときに利用している科学技術(βシステム)の提供を政府に申し出て、軍事転用可能な極秘技術として、ほいほいと政府与党の首脳が応諾してしまいます。
  6. ウルトラマンは子供のころなんども再放送で眺めていますから、昨日、ここで違和感を感じて思考が停まったのだと気づきました。原作では、メフィラスが侵略の糸口をつかむため、地球人のサトル少年に「ぼくは地球とサトル君が気に入った。ぜひ、この地球はあなたにあげます、と言ってほしい。そうしたら君にはなんでもしてあげる」と誘います。サトル少年は「やだ!自分だけ美味いものが食えてもなんにもよかない!地球は地球人のものだ!」と拒絶し、ハヤタが「子供でも地球を売り渡すような人間なんていない!」と言い返し、メフィラスの言う「心の侵略」は失敗に終わります。
  7. カネと欲で生きているのが人間というものですが、いくらなんでも映画で「政府与党は売国奴(売星奴?)だらけです」とやられちゃ、そういう話だったか?とここで引っかかり、その先を懐疑目線で眺めてしまいました。
  8. 人類とウルトラマンが融合可能であることは、(この映画の設定では)ウルトラマンが巨大化する仕組みで人類も巨大化できることを意味します。光の星ではこれが問題視され、あらたな監視者・裁定者としてゾーフィが送り込まれ、ウルトラマンに人類は兵器転用が可能であり、他の宇宙人に利用されて、ほかで迷惑をかけるまえに天体制圧用最終兵器で抹殺することと決まり、あわせてオキテを破ったウルトラマンは本国(本星?)召還が決まったことを告げます。このあたり、鳥インフル感染で周囲の養鶏場まで処分されるのと発想がそっくり(こういう描写にも、昨日は違和感感じたんですね)。
  9. 数光年先まで破壊する兵器の存在に、「ウルトラマンですらかなわないのに我々にどうにかできっこない」と政府は座して死を待つ方針を決めてさっさと白旗をあげます。職場でどうせ俺たちなんて、とぐちをいいながらストロングゼロ缶をあおる姿もあったり、まぁ、ヘタレだらけ。ウルトラセブンの最終回で「地球は我々人類、自らの手で守りぬかなければならないんだ!」とキリヤマ隊長が周囲を督励した姿なんてみじんもありゃしません。
  10. たぶん賛否両論分かれるだろうと昨日感じた違和感のなかみは、ウルトラマンという宇宙人からケツを叩かれながら物語が進行していくことでした。これじたいは原作をみていたときもときどき感じてはいたものの、2時間のなかでここまで「どうせ自分たちには勝てっこない出来っこない(めそめそ)」という姿を見せつけられると、どうも後味が悪いというか……。

さすがに2回観ると、だいぶ理解できましたね。

おもしろいかと言われたら「子供のころウルトラマンを画面に張り付いて眺めていた記憶のあるかた」は、一度は観に行ってみる価値はあるとおもいます。

ただ、子供のころに見た原作のように「当たって砕けてもいいじゃないか!」という登場人物が人類役の側には居ません。ウルトラマンに人類が「お前たちそれでいいのか!」と尻を叩かれながら動く姿は、やっぱりエヴァンゲリオンにつうずるものがあって、これってウルトラマンじゃない気もするのです。

『シン・仮面ライダー』特報 - YouTube

来年、今度は「シン・仮面ライダー」なのですね。どうなりますやら。

森薫「SCRIBBLES 1」「SCRIBBLES 2」

SCRIBBLES 1 (青騎士コミックス)

SCRIBBLES 2 (青騎士コミックス)

1ページに1点ずつ。漫画家・森薫が執筆の合間に描き連ねた落書きの数々!
漫画家・森薫が描き連ねたSCRIBBLES(落書き)の数々を、1ページに1枚ずつ収録。
第1巻では過去に小冊子として編纂された『SCRIBBLES』シリーズの、小冊子1から小冊子4までのイラストを収録しています。
1枚につきひとつずつ、作者からのコメントもあわせて記載。
『シャーリー』から『エマ』、そして『乙嫁語り』に至る漫画家の、興味や好奇心、練習から息抜きまで、すべてのルーツがここにあります。

「乙嫁語り」の新刊がでないなぁ、とおもってたら、1~2月に「scribbles (落書き)」という2巻本が出ていたのを今日知りました。博多バスターミナルの紀伊国屋書店で購入し、眺めているところです。

画像は、著作権とかいろいろあるでしょうから、わざとぼかしをいれております。