財務省の事務次官の発言がいろいろと取り上げられています。
べつにいまにはじまったことではありません。「100万の稼ぎなら100万の範囲で暮らせ」は、大蔵省時代からの路線です。政治屋にシバかれて赤字国債だのなんだのやってきていますが、ここが締り屋であることをやめたことはありません。
もし岸田に根性があるなら事務次官更迭すりゃいいんですが、できてませんね。
間違っていないからです。
個人的には岸田が事務次官を更迭し、「MMTMMT~」と唱えながらジャブジャブインフレジンバ*エへの道を示して欲しかったのですが、そういう面白い局面をみる機会はなくなりました(笑)
矢野康治・財務次官「論文」、誰も指摘しない“あまりにもヤバい”問題の本質 | エディターズ・チョイス | ダイヤモンド・オンライン
あるいは、銀行の頭取が、「我が銀行は、このままでは破綻します。どんなに叱られても、どんなに搾られても、言うべきことを言わねばならないと思います」などと言えば、取り付け騒ぎになるだろう。
それと同じように、もし我が国の財政が本当に破綻に向かっているならば、「財政をあずかり国庫の管理を任された立場」である財務事務次官が「日本の財政は破綻に向かっています」などというメッセージを送ったら、金融市場が即座に反応し、日本国債は一斉に売りに出され、金利が高騰することになってしまうだろう。
ダイヤモンドの記事も玉石混交のきらいがありますが、この記事では意図的に彼の立場をすり替えて批判しています。
政治屋は馬鹿だらけでも、締まり屋の番頭は職務放棄してませんというメッセージを打ち出したのは、むしろ日本にとってプラスでした。
事務次官は金庫番です。大統領でも首相でもありません。
“中国も顔負け”な日本のデタラメ経済政策「アベノミクス」が招いた悲惨な結末(MAG2 NEWS) - goo ニュース
その張本人の浜田が、今になって「物価目標の未達は国民にマイナスではないので気にしない」とはどういうことだ。それさえ達成すれば魔法のように日本経済が蘇るかのように言って掲げた「2%の物価上昇」は、実現しようとしまいとどうでもいいようなことだったのか。実現しなかったことで国民にマイナスを与えなかったのでむしろよかったということなのか。ふざけた話である。
(略)
が、そうはならず、13年3月にはわずか総計47兆円しかなかった各行の日銀当座預金は、8年間に494兆円も増えて542兆円にまで膨れ上がった。
マネタリーベースが522兆円増えたのに、各行が日銀内の口座に置いているマネーが494兆円も増えたということは、それが基本的に日銀の構内での自閉的なやりとりに終わっているということである。
どうして各行が日銀口座からカネを引き出さないのかと言えば、話は簡単で、資金需要がないからである。
社会そのものが少子高齢化で消費をしない体質になっています。
貯蓄率はこの数年、上昇傾向にあります。
ただし、短いスパンでなく長期的にみれば、貯蓄率は急減してきました。
稼ぐ世代より、年金や貯金で暮らす世代が増えていけば、貯蓄率は減っていきます。少子高齢化がすすみ、消費傾向も硬直化した社会となったことが、わかるわけです。
国民負担率だけをみると日本は低負担の国にみえてしまいます。
財務省のホームページには、赤字国債などで補填したあとの負担率の比較が掲載されています。見比べてはじめて、基本的にはよそとあんまりかわんないな、ということがみえてきます。
ここからみえてくるのは、政治屋が人気取りに増税をしぶり、足らないぶんは国債発行でまかなってきた構図です。
金融所得課税強化、来年に方向性(共同通信) - Yahoo!ニュース
与党が12月にまとめる2022年度税制改正大綱に、金融所得への課税強化を今後の検討事項として盛り込み、来年にも一定の方向性を出す方針であることが18日、分かった。重要テーマとして継続して議論する姿勢を明確にする。
「NISAに課税」発言の立憲・江田氏謝罪 枝野代表、火消しに躍起 [2021衆院選] [立憲]:朝日新聞デジタル
売却益や配当が非課税になる「少額投資非課税制度」(NISA)や「つみたてNISA」について、立憲民主党の江田憲司代表代行が28日夜、BS番組で、同党が掲げる金融所得課税の強化の流れで、NISAへの課税も「同様にかけます」と発言した。江田氏はその後、謝罪したほか、枝野幸男代表も「課税を強化するつもりは全くない」と釈明に追われた。
赤字国債で補填しないなら、とれるところからどんな理由をつけてでもムシるしかないわけで、金融課税強化は与野党ともに目をつけていたのが、実際のところでしょう。
老後のたくわえに株とか投資信託とかやってる身としては、非常につらい現実ではありますが……。
おそらく、超セレブや超頭脳が国外流出する危険より、ゆとり教育世代や年金世代など、逃げられない社畜ならぬ「国畜」からムシる道を選んだのです。しょうじきに言えないから、格差是正を持ち出したに過ぎません。
それでも選挙で自民党に若者が投票するって、どんな魔法使ってるのかねぇ……。
どう考えても年寄りにカネを吸われて損をするのは、若い世代、それもいま20代以下のみなさんなのに、その4割が自民党支持というのだから、自虐性の高い世代というか、いじめられて喜ぶ世代というか……。
国畜さんばかりなのでしょうねぇ。政権与党は安泰です(やれやれ)。