美風庵だより

幻の花 散りぬ一輪 冬日の中

九州交響楽団 第71回北九州定期演奏会

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第71回北九州定期演奏会 || 公益財団法人 九州交響楽団 -The Kyushu Symphony Orchestra-

開催日:2021年9月25日(土)午後3時開演
会場:北九州芸術劇場 大ホール
曲目
ハチャトゥリアン/フルート協奏曲(ヴァイオリン協奏曲・編曲版)
ビゼー/「カルメン」組曲 第1番
ストラヴィンスキー/バレエ組曲「火の鳥」(1919年版)
指揮:大友直人
フルート:瀬尾和紀

当初は、パトリック・ガロワ氏を招いての演奏会と発表されていましたが、コロナの影響で、指揮者・曲目が変更となったものです。「火の鳥」とハチャトゥリアンの組み合わせに食指がうごき、久しぶりに北九州芸術劇場に顔を出しました。

北九州芸術劇場

北九州芸術劇場 | リバーウォーク北九州

北九州芸術劇場は複合施設「リバーウォーク北九州」に入居しています。
初めて訪問したとき、階下には美術館、上は朝日新聞とゼンリンというフロアマップをみて、驚いたものです。美術館は何度か訪れていますが、とくに鑑賞の不具合はなく(あったら困るのですが)、カネかけて遮音設計やったんだろうなぁ、と思ったものでした。

施設の英語名「kitakyushu performing arts center」が示すように、芝居小屋としての性格がつよいものの、演奏会にも利用されます。(あくまでも「多目的ホール」ですが)基本的に響きかたは新国立劇場などに近い、シューボックス型「残響2秒」ホールとは非なるものです。

北九州市立 響ホール

すでに音楽ホールは別にあるため、住み分けを考慮しているのでしょう。

初訪問は演奏会ではなくなにかの講演会だったと記憶しています。舞台からの声の通りがよく驚きました。今回の演奏会でも、大友さんがアンコールの曲目(チャイコフスキーの弦楽セレナード)を紹介したとき、すっと客席に声が伝わります。下手なホール(ア*ロスとか)だと、最初の発声が聞き取れなかったりするのですが、まったくそういうことがありません。

 

まだ若いころ、曲目までは覚えていませんが大友さんの指揮する演奏を聴いて、曲のイメージがわからなくなったことがありました。それから数年後に九響定期でショスタコーヴィチを聴き、がらりと印象が変わったのを覚えています。

いまにして思えば、いくら才能があってもCMに出るわテレビの司会をするわでは、時間が足らずいろいろと無理があったのでしょう。ほぼ同年代の広上淳一さん、大野和士さん、佐渡裕さんがいっせいに登場し、競い合っていた時代でした。

今回の演奏を聴くと「自分のやりたいこと」より「客が聴きたがっているもの」を優先しているように思えます。芸術家ではなく芸人・職人になろうとしているふうでもあります。もう10年以上むかしになりますが、「秋山さんの大衆性を受け継ぐのが大友で、芸術を受け継ぐのは沼尻」とわかったような高説をさる場所で聞き、そういうものなのかねぇ、と不思議に感じたことがありました。桐朋学園大学の指揮科教授を沼尻さんが引き継いだことを念頭においた発言だったかと記憶しています。

25日の演奏を聴くかぎり、そう簡単には割り切れるものではなさそうです。

 

この日のお目当ては、「火の鳥」とハチャトゥリアンでした。

九響定期に行ってきました - 美風庵だより

ハチャトゥリアンの「フルート協奏曲」は、有名なヴァイオリン協奏曲を、ジャン=ピエール・ランパルが編曲したもので、12年前にも瀬尾さんの演奏で聴いています。当時の感想を読むと、ヴァイオリンと違って泥臭くない都会的な演奏だと感じたようです。今回も、ジプシーヴァイオリンのような泥臭さはみじんもなく、あか抜けた感じがします。大友さんと九響の伴奏がもつ明るさから照射された面もあるのかもしれません。

ストラヴィンスキー聴いてきました(^^♪ - 美風庵だより

「火の鳥」も生で聴くのは6年ぶりです。

まだ子供のころ「ドラえもん」のあとが「題名のない音楽会」で、ドラえもんを視聴したあと、黛敏郎さん司会の題名のない音楽会をそのまま続けて視聴する習慣がついていました。あれで秋山和慶さんや岩城宏之さんを知り、東京交響楽団や新日本フィルの名前を知りました。黛さんの趣味なのか、ストラヴィンスキーなどがよく取り上げられ、「春の祭典」「ペトルーシュカ」「火の鳥」など喜んで聴いたものです。

演奏会なんて簡単に連れて行ってもらえる家庭でもありませんでしたし、あのときに聴いたストラヴィンスキーやラヴェルから、やがて録音や楽譜を買ってクラシック音楽の沼にはまりこんでいきました。

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終演後、ホールから出てトイレを借り、2階席(実質は7階?)のホワイエから、小倉城を撮影してみました。

翌日起床して、この感想を書いています。SNSなどを眺めていると、高校で吹奏楽部に所属している学生さんが「火の鳥に感激した」と書き込んでいるのをみかけました。若いころに触れた実演は、いつまでも耳に残ります。素敵なことです。