松村かえるの「かえるのねどこ」

旧「美風庵だより」です。

中部フィルハーモニー交響楽団創立20周年記念コンサート

中部フィルハーモニー交響楽団創立20周年記念コンサート | 中部フィルハーモニー交響楽団

中部フィルハーモニー交響楽団創立20周年記念コンサート

2021年8月7日(土)14:30開演 13:30開場

会場 
愛知県芸術劇場コンサートホール

指揮
秋山和慶

ヴァイオリン
竹澤恭子

オルガン
都築由理江

プログラム

ショスタコーヴィチ:祝典序曲作品96

チャイコフスキー:ヴァイオリン協奏曲ニ長調作品35

サン=サーンス:交響曲第3番ハ短調作品78「オルガン付き」

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コロナの影響はつづき、しかも台風まで近づいてきています。
行こうかどうかだいぶ悩んだ演奏会になりました。

もともと2020年6月に予定されていたものの延期公演なので、楽団そのものは21年目を迎えていることになります。

私がはじめて中部フィルを聴くことができたのは、2016年6月の定期演奏会でした。セザール・フランクの「交響曲」がメインで、のちに中部フィルの自主制作盤でCDになりました。

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いまでもこのCDは、ときおり聴きかえすことがあります。否、フランクの交響曲を聴こうと思ったら、最初にえらぶ一枚になりました。

年に1~数回程度しか行けていませんが、とうとう聴きはじめて5年目を迎えたことになります。はやいものですね……。

当日演奏された曲順どおりではありませんが、やはり気になった「オルガン付」から感想を。

九響演奏会に行ってきました(^^)v - 美風庵だより

約11年前、いちど九響定期で秋山さんが指揮した「オルガン付」を聴いているのですが、さすがにもう記憶にありません。

今回の演奏で感じたのは、秋山さんの「かくあるべし」という強い意志でしょうか。じつに手加減なしで畳み込んでいきます。それに食いついていこうとする楽員のみなさんの熱意もすごく、ところどころ「?」と思う場所もあるのですが、どんどん曲に引き込まれます。

交響曲第3番 (サン=サーンス) - Wikipedia

前半は緩やかな導入部の後、シューベルトの「未完成」交響曲を思わせる弦楽のざわめきによる循環主題(第1主題)がまず現れ、穏やかな性格の第2主題が続く。循環主題の冒頭はグレゴリオ聖歌「ディエス・イレ」と音形が一致している。

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怒りの日 - Wikipedia

https://upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/7/79/Dies_Irae.PNG

しかし、サン・サーンスって本当に化け物です。16分休符をひとつ入れてディエス・イレだとパッと聴いてわからないようにしたうえで主題として提示し、最後は長調に転調させて、これでもか!どうだ!と圧倒して終わります。どうしても「循環主題」だの「2部構成」だの、そういう教科書的な解説が目につきますが、そこだけがすべてではありません。

秋山さんと中部フィルの演奏を聴くと、オルガニスト・ピアニストであったサン・サーンスなりに、ディエス・イレの主題をネタに「運命」を換骨奪胎してみた結果なのだとわかります。

この曲は徹頭徹尾、サン・サーンス流「運命交響曲」なのです。

そしてオルガンの神秘さや華やかさが加わり、ピアノがオケの中を駆け巡る(跳ね回る?)。死から生へ、暗から明へ、いろんな言い方があると思いますが、単純な構図で終わらせないのが、このオルガンとピアノの効果です。

それにしても、ここまで楽譜が透ける実演にお目にかかった記憶はありませんでした。とんでもない場所に居合わせたことに気づくと、ただ黙って舞台を眺めるほかありません。音の欠けがどうだとか、曲間で拍手が起きたりするのもどうでもよいことです。できればないにこしたことはありませんが、ほかのお客さんも気づいて賞賛しているのかもしれませんし……。

竹澤さんを迎えてのチャイコフスキーもじつに見事なもので、息の合った演奏はそれだけでも楽しくなります。もともと自分の耳はよくない自覚があるため、わざと真正面に陣取らないようにしていたのですが(音が溶け合い細かい部分がわからなくなるため)、この日ばかりは2階の真正面の入場券おさえて正解でした。

ショスタコーヴィチの祝典序曲を聴くのもたぶん久しぶりです。よく言われることですが、スターリンの死後に発表され、スターリンの死を祝典とみなした曲というだけあって、表向きの華やかな雰囲気とうらはらに、皮肉屋っぽさも見え隠れしています。

https://twitter.com/chubuphil/status/1423978239643381768?s=20

https://twitter.com/chubuphil/status/1423978239643381768?s=20

竹澤さんのアンコールはチャイコフスキーの作品で、「オルガン付き」のあとには、エルガーの「なぞ」から「ニムロッド」が演奏されました。

第77回定期演奏会 NAGOYAシリーズ3 | 中部フィルハーモニー交響楽団

秋山のベートーヴェンツィクルス3
2021年10月24日(日)
指揮
秋山和慶
ヴァイオリン
郷古廉
プログラム
ベートーヴェン:ヴァイオリン協奏曲ニ長調 作品61
ベートーヴェン:交響曲第6番ヘ長調作品68「田園」

次は10月のベートーヴェンといきたいところですが、おそらく厳しいかもしれません。夏は落ち着くはずのコロナが8月にこれだけ大騒ぎなのですから、涼しくなったらいったいなにが起きるやら、わかりません。困ったものですね……。