美風庵だより

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小池康寿「日本人なら知っておきたい正しい家相の本」(プレジデント社、2015)

日本人なら知っておきたい正しい家相の本
 

著者は住宅メーカーのトップ営業から占い師に転身されたかたです。

建売住宅やマンション、ひいては公営住宅をはじめ、規格で量産されたほぼ同じ間取りの物件が並んでいるのに、そこで暮らす人たちの幸不幸に差が出ることは普通にあります。

家相をかじりだすとこれが謎で、現在まで納得がいく説明を読んだ記憶がありません。

まぁ、常識で考えれば、家相が個人に与える影響は、その個人や家族の運命を超えられない、と考えるしかなく、私はその程度でとらえるようにしていました。

著者は、江戸時代まで、太極(たいきょく:だいこく:中心)のとらえ方だけで15の流派があったことを紹介し、現在まで生き残っている建物の重心を太極とする流派が誤っていると説きます。

読みすすめていくと、(1)主人の寝所(2)神棚・仏壇の位置(3)大黒柱の位置の3つの流派を紹介し、意図的に太極をずらすことで、開運をはかることが出来るとも言います。

これ、「自分に都合がよい解釈をしてくれる考え方にのっかって、都合がよいものを信じましょう」と言っているわけで、家相とはその程度のものと言っているに等しいわけです。それを「日本人なら知っておきたい正しい家相」というわけですから、なんの冗句かと悩んでしまいます。

ただ、実感として神棚・仏壇・大黒柱を「太極」とする発想のほうが、正しいような気はします。建物の重心を中心とする考えでは説明できない部分が、これなら説明できそうです。とはいえ、現代のように2馬力で「稼ぎ頭=主人」が不透明な家庭や、神棚も仏壇もない家庭だとどうなるか、なかなかむつかしいところではあるのですが……。