美風庵だより

幻の花 散りぬ一輪 冬日の中

10月6日の日録

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生活困窮者です。

学術会議の任命拒否について、日ごろ与党を擁護しているyoutuberなどが妙な擁護動画を掲載したりしないか、ちょくちょくチェックしているのですが、どうも動きがありません。
どんなアクロバティックな擁護・弁護をするのか楽しみだっただけに、ちょっと残念だったりします。まず、この問題に入る前に、基本的な構造を理解するため、憲法の規定を引用します。

日本国憲法
第六条 天皇は、国会の指名に基いて、内閣総理大臣を任命する。
2 天皇は、内閣の指名に基いて、最高裁判所の長たる裁判官を任命する。

では、今回問題になっている学術会議会員の推薦手続をみてみましょう。

日本学術会議法(昭和二十三年法律第百二十一号)

第七条 日本学術会議は、二百十人の日本学術会議会員(以下「会員」という。)をもつて、これを組織する。
2 会員は、第十七条の規定による推薦に基づいて、内閣総理大臣が任命する。

第十七条 日本学術会議は、規則で定めるところにより、優れた研究又は業績がある科学者のうちから会員の候補者を選考し、内閣府令で定めるところにより、内閣総理大臣に推薦するものとする。

 

日本学術会議会員候補者の内閣総理大臣への推薦手続を定める内閣府令(平成十七年内閣府令第九十三号)
日本学術会議会員候補者の内閣総理大臣への推薦は、任命を要する期日の三十日前までに、当該候補者の氏名及び当該候補者が補欠の会員候補者である場合にはその任期を記載した書類を提出することにより行うものとする。

読み比べるとわかりますが、骨格は似ています。
内閣総理大臣の場合は、「国会の指名に基づき」、「天皇が」「任命する」。
学術会議会員の場合、「学術会議の推薦に基づき」、「内閣総理大臣が」「任命する」。
 
推薦されたものを任命することが前提です。憲法で国会が指名した者を、天皇が首相に任命するのと同じ構図で、ここに拒否権はないとされてきました。

恐るべきことに、国会は国会議員という国民の代表が首相を指名するのであり、学術会議は内部推薦にすぎず、これに拒否権がないのはおかしい、という主張をネットで堂々としているかたがいます。これ、基本的な勘違いも甚だしく、もし法律に「そこらへんのおっさんがサイコロ振った結果に基づき首相を指名する」と書かれていれば、それが正式な手続きになります。書いてあることをやるからそこに正当性が生まれるのであって、その手続きが気に入っているかどうかは個人の感情にすぎません。文句があるなら、自分で国会議員になり、与党の有力者になって、法律を改正するよう運動をすればよいのです。

「民主的統制」の結果であり首相に拒否権がないわけがないともっともらしくツイートする識者も居ますが、この考えでいけば、首相(と政府与党)からみて問題がある思想信条の持ち主は民主的統制で排除してよいことになります。つまり茶坊主以外は弾き飛ばして当たり前ということです。民間企業なら、社長の独断も可能でしょうが、これ、税金を使って多様な意見を反映させるためにやっている公的事業です。そして二の句は「民営化しろ」。何年たっても変わりませんね……。

もし学術会議の会員に気にいらないやつを任命したくないのであれば、まず、「学術会議から推薦を出させ」「内閣で選考し」「首相が任命する」と、法律を改正してからやるべきでした。

地方公務員法(昭和二十五年法律第二百六十一号)

第十六条 次の各号のいずれかに該当する者は、条例で定める場合を除くほか、職員となり、又は競争試験若しくは選考を受けることができない。
一 禁錮以上の刑に処せられ、その執行を終わるまで又はその執行を受けることがなくなるまでの者
二 当該地方公共団体において懲戒免職の処分を受け、当該処分の日から二年を経過しない者
三 人事委員会又は公平委員会の委員の職にあつて、第六十条から第六十三条までに規定する罪を犯し、刑に処せられた者
四 日本国憲法施行の日以後において、日本国憲法又はその下に成立した政府を暴力で破壊することを主張する政党その他の団体を結成し、又はこれに加入した者

地方公務員法に、共産党員は公務員になれませんとちゃんと書いてあります。選考基準をこんな感じで明文化して国会で可決させれば、まったく問題なかったはずです。

検事総長にしたくて定年延長したK氏のときもそうでしたが、どうも先に法律をいじって問題ない状態にしてから、やりたいことをやるという当たり前のことができていません。法令の実質的意味なんて解釈次第だと、彼は思っているのでしょう。

こういう奴はぜひ、来年行われる衆院選で国会の指名を受けたあと、天皇に任命拒否されてみて欲しいと思います。まぁ、天皇は内閣の助言と承認に対して「質問」を出来るにすぎない生体ロボだというのが通説の見解ですから、拒否したところで結果を変えることはできないのですが。

ただ、この件がよく判らないのは、この学術会議の会員になれないことが、学問の自由を制約することにどうつながるのでしょうか?学術会議の会員になれなかったら、大学教員などの職を失ったり、年金がもらえなくなったりするのなら、学問の自由を侵害しているのかもしれません。そんな組織には見えないのですが……。

 

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今のところ、影響があるのは金曜日いっぱいのようですが、果たして台風14号はどうなるでしょうか。