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【崇神天皇の生誕地はどこか[2]】田川郡川崎町池尻 大石神社


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前日の位登八幡神社でも書いたとおり、神武天皇に関する伝承がある神社のひとつです。

川崎町誌の下巻を確認したところ、まず大己貴(おおなむち、大国主)の御神託があり産神として祀るようになり、疫病が大流行した際、さらに御神託にもとづいて櫛岩間戸神と豊岩間戸神を祀るようになったとされています。大石とは、大己貴のお告げにより人の形をした石を御神体としたことから名づけられたとのこと。

また、前日にも紹介した神武天皇の伝承に出てくる「帝階八幡宮」が合祀されています。

ここに来ればいろいろわかるのではないかと期待して現地を訪問しました。

川崎町池尻地区そのものを訪問したことがなかったため、たどり着くのに手間取りました。

地図ではここなのにどうもほかのネット記事と風景が異なります。何故だろう?と考えつつ車を近くに停めさせてもらい近づいていくと、どうやらやっとこ見つけたのが裏参道らしいのです。

一からぐるりと車をまわす気力もなかったので、そのまま石段をあがって訪問しました。

大己貴を祀る神社ということだったのですが、拝殿にあるのは「違い鷹の羽紋」です。

この御神紋だけをみれば、健磐龍(たけいわたつ、阿蘇津彦)の阿蘇神社と言われてもわかりません。これはどうしたことだろう……。

あらためて、川崎町誌下巻671頁からを読み返してみます。白雉元年(650年)、神がかりした住民が大己貴の幸魂を名乗り「我を祀れ」と御神託を述べた点、天平2年(730年)、疫病が大流行した際、病魔退散を祈願したところ疫病が治まり、災いを防ぐ神として豊磐窓神・櫛磐窓神を併せ祀るようになった点が、目をひきます。

ああ、そうか。……いっけん妙な祭神の組み合わせも、日本書紀の意図的な混濁が原因でしょう。日本書紀は、大己貴と大国主と大物主をわざとごっちゃにしています。私も神社めぐりをはじめる前は、この混濁を疑いもせず受け入れていたのですが、どうもあちこち巡っているうちに、違う気がしてきました。要するにここは、大物主である大山咋が祀られた神社なのです。

ネットの議論を眺めると「大石」の「石」は、「后」の隠し文字ではないかといった説があります。神功皇后伝承とのからみは当然あるでしょうし、「后」を意識して「、」が刻印されているという点に同意はしますが、この神社にはもっと古層があります。

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天石門別神 - Wikipedia

古事記』の天孫降臨の段に登場する。邇邇芸命が天降る際、三種の神器常世思金神・天手力男神天石門別神を添えたと記され、同段で天石戸別神は又の名を櫛石窓神(くしいわまどのかみ)、豊石窓神(とよいわまどのかみ)といい、御門の神であると記されている。(略) 天太玉神の子ともいう
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常世思金命とは思兼命(豊玉彦)のことで、天手力男神とはスサノオのことです。高木大神(高皇産霊神)と天照大神卑弥呼)のドラ息子であるニニギの目付役(監視役)として超大物が同行しました。それに並ぶ超大物でなければ、こんな書き方はしません。そして、重要なのは、天太玉神(これも豊玉彦の別名)の子とされていることです。

おぼろげながら、だんだんと姿が見えてきました。

まず、大物主(大山咋)の実父は天之忍穂耳であり、英彦山神宮を見ればわかりますが、並び鷹の羽紋です。そして、前日触れた位登八幡神社の元宮 豊日別社に祀られている豊玉彦(豊日別命)の子が、脇神です。名前も違えば造りも違います。しかし、根底で通じるものがたしかに存在するのです。

もう一点ダメ押しをすれば、大物主(大山咋)の妃が玉依姫であり、玉依姫の実父は豊玉彦です。

この二人の子に、のちの崇神天皇が居ます。

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福岡県神社誌にある貴船社とはおそらくこの石祠のことでしょう。

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福岡県神社誌:下巻192頁
[社名(御祭神)]大石神社(櫛岩間戸神、豊岩間戸神、大己貴命
[社格]村社
[住所]田川郡川崎町大字池尻字伝重寺
[境内社(御祭神)]貴船社罔象女神、高淤加美神闇淤加美神少彦名命
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(2020.07.02訪問)