松村かえるの「かえるのねどこ」

旧「美風庵だより」です。

小野十傳「増補改訂版 最新奇門遁甲術入門」(ワン・パブリッシング、2020)

「最新 奇門遁甲術入門」 - 美風庵だより

奇門遁甲は使えるか。 - 美風庵だより

造作法というおまじない - 美風庵だより

2015年に入手した本の増補改訂版が発行されました。

奇門遁甲術はこれまでにも書いてきましたが、60年・60月・60日・60時間の4つの区切りで、方位ごとの吉凶を判定し、その方向に行動することで、良い影響を享受しようというものです。

一般的には、お出かけの前に行動を開始する日時を調べ、起点となる場所からの吉凶を確認する使い方が多いとおもいます。もし出発日時に問題があれば、日取りを前後させて、凶を回避するようにします。むろん、逆の使い方も可能です。気に入らない上司や部下に、凶方位となる出張を割り振ったりとか、運気を落として目の前から去るようにしむけたりとか……。

今回は、書籍版と電子版の2通りで発行されます。大歓迎です。

この本が登場する前にも奇門遁甲術について触れた占いの本はあったのですが、どれも体裁が大きいのが難点でした。唯一なんとか持ち運べるのが黒門氏の著作でしたが、あれは大局が判りにくい代物でした。

時盤や日盤の算出方法については複数あります。この本に従って作成した時盤と、黒門氏の著作に従ったもの、中国・台湾系のアプリで作成したもの、まるっきり違うことがあります。ただ、どれが正しそうかは、試しながら勘を磨くよりほかなく、個人的には中国や台湾製のアプリやホームページがいちばん性に合うようです。

立向時盤の遁甲盤一覧

現在は、こういう細かく解説してくれるホームページも登場してきており、緊急時にはこれを参考にすることも出来ますが、やはり、これでも情報量は圧倒的に足りません。手がかかる作盤は省力化できるものの、アプリやホームページでは、象意(その組み合わせをどう読み解くか)の説明は恐ろしいほど簡略化されています。

外出先でどう判定してよいかわからず、頭を悩ませることもありました。

今回、電子版があわせて刊行されたことで、象意の確認が外出先でも簡単です。
本格的に利用したい向けには、これだけでも買う価値があります。

今回の増補改訂で、凶方位を使わざるをなかったときに、どのようにして凶を避けるか(避凶)、凶を鎮めるか(鎮凶)の考え方について1章をもうけて説明が追加されました。また、この章では吉方位をさらに補強するための方法についても触れています。

本の売れ行きの邪魔になってはいけませんから、具体的な内容についてここで書くことはしませんが、これは実際に使ううえで、とても重要なポイントなのはたしかです。

この1章だけでも、値段の価値はあります。

どうせ毎日使うものなので、今回、書籍版と電子版の両方を注文したのですが、書籍版はどうも初刷部数が少ないためか、8月下旬発送とのこと。出版不況でどこも印刷部数を絞っているとはいえ、なかなか厳しいですね……。