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ここも恐ろしいほど古代史の鍵を握る神社です。
昨年8月に訪問し、10月に発表した過去の文章を読み返してみましたが、基本的な考え方は変わりません。ここに祀られているのは、少彦名命こと事代主(えびす様)からみた母方の祖先であり、それ故に天之忍穂耳の姿がない点も、昨年書いたにしてはよく気づいたと(我ながら)感心します。
(本人が写りこんでいたため一部改変しています)
今回、書き加えるとするなら、社殿両脇の摂末社についてでしょうか。
五穀社の御祭神は、倉稲魂命、埴安姫、罔象女神とされています。倉稲魂命(天細女(あめのうずめ))からみて、祖母と母親も併せて祀られています。ついでに言えば、この埴安姫とは埴安命こと大幡主の妹であり、月読命(大山祗)との間に罔象女神、金山彦との間に奇稲田姫を儲けています。
八王社というのは、月読命(大山祗)を祀る神社のことでしょう。
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『古事記』では、刀(天之尾羽張、またの名は伊都之尾羽張)で斬られた迦具土神の各所に八柱の山津見神が生まれた。
頭に正鹿山津見神(まさかやまつみのかみ)
胸に淤縢山津見神(おどやまつみのかみ)
腹に奥山津見神(おくやまつみのかみ)
陰に闇山津見神(くらやまつみのかみ)
左手に志芸山津見神(しぎやまつみのかみ)
右手に羽山津見神(はやまつみのかみ)
左足に原山津見神(はらやまつみのかみ)
右足に戸山津見神(とやまつみのかみ)。
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気になるのは、加具土命(金山彦)の死体から生まれたという古事記の創作にもとづき祭神を割り当てていることです。八岐大蛇伝承で、スサノオが奇稲田姫を条件に金山彦・埴安姫夫婦に加勢して大山祗を追い払ったことが、このようなかたちで残されています。この貶めるような表記がなぜ許されるのでしょうか。要するに、このエリアはほんらい大山祗の支配地ではなかったからだということでしょう。
高木大神(高皇産霊神)と卑弥呼(天照大神)のドラ息子 ニニギの妃が、月読命(大山祗)の娘 木花開耶姫命(このはなさくやひめ)ということを考えれば、この扱いは少々ひどい気もしますが……。
月読命(大山祗)と卑弥呼(天照大神)のなかなかの喧嘩別れっぷりを考えると、敢えてこの姿で残したのかもしれません。
摂末社の配置も、じつに興味深い存在です。記紀神話が現王朝の嘘っぱちであることに勘づきはじめた神社好きのかたにこそ、重要な存在としてお勧めしたい場所です。
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福岡県神社誌:下巻169頁
[社名(御祭神)]高木神社(少彦名命、思兼命、高皇産霊神、栲幡千千姫命、三穂津姫命)
[社格]郷社
[住所]田川郡津野村字正護山
[境内社(御祭神)]須佐神社(素戔嗚尊、奇稲田姫、八王子)、五穀神社(倉稲魂命、埴安姫命、罔象女神)、八社大神(山祇八神)、金刀比羅社(崇徳天皇)
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(2020.05.26訪問)