美風庵だより

幻の花 散りぬ一輪 冬日の中

「真夏の三大交響曲」

----------------------------------------

真夏の三大交響曲 || 公益財団法人 九州交響楽団 -The Kyushu Symphony Orchestra-

「真夏の三大交響曲
2020年8月8日(土)午後3時開演
会場 アクロス福岡シンフォニーホール
曲目 
シューベルト交響曲 第7番 ロ短調 D759「未完成」
ベートーヴェン交響曲 第5番 ハ短調 作品67「運命」
ドヴォルザーク交響曲 第9番 ホ短調 作品95「新世界より
指揮
秋山和慶

----------------------------------------

f:id:bifum:20200808140302j:plain
8月8日、秋山和慶さんと九響による名曲コンサートを聴きました。

この日記で調べるかぎり、アクロス福岡シンフォニーホールに来るのは、2016年5月以来です。なんと4年以上も御無沙汰でした。

読書をして開演を待つつもりだったので、14時になったらすぐ入場しました。先日のミューザ川崎もそうですが、1つおきにしか座席を売ることができないため、オーケストラの経営的にはたいへんだと思います。寄付できるようなおカネがあればよいのですが……。前の仕事場を追放され、個人事務所休業して、地元でお世話になっている身ですので、さすがに厳しいところです。

お構いなしにキャンディかなにかの包み紙を開く音がペリペリと響くのを聞いて、まだアクロスがなかった時代、サンパレスが主流だったころからまったく進歩していないことに、妙な安心感をおぼえます。ミューザ川崎など県外の他のホールでは、こんなにお構いなしにペリペリ響かせることはまずありません。以前、客同士で口論になってるのを目撃したことすらあります。

「未完成」を聴いていて、まず舞台から低音がモヤモヤのなか飛んできて、高音がモヤのなかを突き抜けてくる、風呂場音響に戸惑います。若いころはこれを聴いて、音の縦が揃っていないのではないかと勘違いしていたのですが、県外で他のホールを聴いていくうちに、同じシューボックス型でもアクロスはとくにクセがあるホールなのだと気づいてきました。アクロス福岡に来たことがないかたでも、(開館年次が古い)オーチャードホールより、さらに風呂場音響を強めたものとイメージしていただければよいかと思います。

そのことを思い出し、頭のなかで低音を払いのけて、ほかの音をしっかりと聴こうと努めます。

7月30日に、ミューザ川崎で東響との演奏を聴きました。ほんのりとロマンを感じさせつつ、整然とした演奏で、楽団員が舞台裏に引っ込んだあと、鳴りやまぬ拍手に秋山さんが呼び戻される光景が印象的でした。

この日の演奏は、もっと燃えています。以前、レスピーギの「ローマ三部作」を聴いたときを思い出しました。曲目は違うし、数年ぶりのアクロスなのでモヤモヤのなかから音を聴き分けるのにたいへん苦労するのですが、それでも九響の楽団員さんの熱意はよくわかります。

「運命」は、7月30日にも東響との演奏を聴きましたが、曲を聴いた満足感は、8日の九響との演奏のほうが上でした。この演奏をもって、ミューザでもサントリーホールでも連れて行けば、ずいぶんと九響の評価も変わってくる気がします。

休憩をはさんでの「新世界」も、第2楽章や終楽章から、血のような夕焼けがみえてくる立派な演奏で、これが録音されていればなぁ、と惜しまれます。終わってみると2時間を超えており、ここ最近の時短ムードを吹っ飛ばす盛りだくさんの演奏会でした。

この日で一曲どれかと訊かれたら、「運命」でしょうか。誰もが知る名曲ですが、それ故に、真っ向勝負する姿勢が際立ちます。聴いていて幸せな気分になれました。

また来年も、秋山さんを招いて演奏会……なんて企画があればいいのですが。