美風庵だより

幻の花 散りぬ一輪 冬日の中

7月14日の日録

【本日の所持金:33,071円】

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生活困窮者です。

堺 お線香 創業明治20年の薫主堂

薫主堂の「薫主」と「時代香」を購入しました。

朝比奈隆さんの演奏会を目的に、年数回関西を訪問していたのが20年前でした。日帰りを組むこともあったのですが、たいていは前後1日余裕をとり、周辺を観光していました。

当時は沈香や白檀などの香木や、御線香についていろいろ興味をもっていた時期でした。そのため、各地の線香屋さんを訪問したりしていた時期でもあります。

このときに大阪・堺市の薫主堂という名前は知っていたのですが、その後、なかなか縁がありませんでした。たまたま堺線香についてネットで記事があったのをみつけ、久しぶりに名前をみかけて数種類注文してみたのが、昨年のことです。

すでにどのような香りの製品だったかも記憶になく、なんとなく南海電車に乗った記憶があるだけでした。もし香りが気に入らなければ、いつものように親せき宅に仏壇線香で消費してもらえばよい……と、なにげに数種類注文したのでした。

我が家には仏壇はありません。気が向いたときに書斎でちいさく折って使うだけですから、あまり減りません。それでも頃合いをみてこつこつ購入するのは、後継者の居ない高齢夫婦のみで経営している店であり、どこかでこの香りは入手できなくなることが、わかっているからにほかなりません。

これまでいろいろな店やメーカーの商品を試してみましたが、ここまで上品で柔らかい香りはなかったと思います。大手のメーカーは安定した大量生産を実現するため、精油や合成香料も使って香りを組み立てます。華やかでしっかりした香りは、精油や合成香料のなせる技で、これはこれで否定すべきものではありません。ただ、齢をとってくると自然に、沈香・白檀・漢薬を組み合わせたもののほうが、しっくりくるようになります。結局は、伝統の強さなのでしょうか。

「薫主」は、沈香の香りを活かしつつ、どこか練香にも似た香りが裏を支えます。そして、香りは明るめです。老舗とされる他社の線香は、もっと漢薬を利かせて、スパイシーさすら感じる配合になっていたりします。そのようなとげはなく、脇役が主張しすぎることはありません。そして、香りに明るさがあります。

まさに配合の妙というべきもので、これがいずれどこかで必ず絶えると考えると、多大な損失です。とはいえ、他のメーカーが引き継いでも、おそらくうまくはいかないでしょう。非常に属人的な、店主のこだわりの産物だと思われるからです。

「時代香」は、似た系統を言うなら孔官堂の仙年香を柔らかくした感じです。飽きのこない香りで、漢薬線香のもつ奥深さを味わうことができます。