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ゼンリンの地図では大嶽神社となっており、福岡県神社誌のどの神社のことかもよくわからず、現地を訪問するまで全く期待していませんでした。杉林の中の砂利道を自転車を押しながら登っていくと、急に空気が変わり鳥居が見えます。おそらく車が通行できるように移転されたであろう鳥居から先は、まさに神の住まう空間です。
以前にも似たような感覚を覚えた神社がありました。
雰囲気として、おそらく昔は修験道のかたの修行場だったのではないか、という気がします。広い境内に絵馬が何枚も奉納された神楽殿があるのですが、残念なことに落書きだらけです。ところが、落書きだらけであっても、どことなく品位を保っています。見ようによっては掘っ立て小屋なのだけれど、ここに集った地元の皆さんの雰囲気がありありと伝わるのです。
鳥居を確認して驚きました。「愛嶽社」とあります。
福岡県神社誌の「愛嶽神社」は、どうやらここのようです。
社殿の見えるほうに足をすすめると、小川の横に小さいお宮があります。お宮には御簾が2つ下がっており、神様が2柱おられることがわかります。福岡県神社誌では、加具土命と保食神とあります。加具土命は火の神として祀られることが多いのですが、金山彦の別名でもあるのです。金山彦は、製鉄・鉱山をつかさどる山の神のひとりです。
まるで山伏の道場といった感じの場所だけれど、祭神は鉱山の神であることに目を向ければ、この場所を見る目は異なったものとなります。
保食神とは、豊受姫(豊受大神)であり、お稲荷さんでもある天細女(あめのうずめ)の別名です。
天細女(あめのうずめ)はスサノオと罔象女神のあいだの子で、大山祗は祖父にあたります。金山彦からみれば、スサノオは娘 奇稲田姫の婿でもあります。下品な言い方が許されるなら、スサノオは勝った見返りに金山彦から奇稲田姫を奪い、大山祗から罔象女神を戦利品としていただいたわけです。
ということは、この神社をこの地に持ち込んだ部族は、金山彦とスサノオの関係者なのでしょう。
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[福岡県神社誌(抄)]下巻410頁
[社名(御祭神)]愛嶽神社(加具津知命、保食神)
[社格]無格社
[住所]朝倉郡安川村大字持丸字大平
[境内社(御祭神)]記載なし。
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(2020.01.03訪問)