松村かえるの「かえるのねどこ」

旧「美風庵だより」です。

中部フィルハーモニー交響楽団 第67回定期演奏会 秋山和慶のドヴォルザーク3大交響曲シリーズ(2)

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11月10日、中部フィルのドボルザークシリーズ第2回を聴きました。

個人ごとで恐縮なのですが「赤貧」というハンドルネーム(=インターネット上で活動するときの名前)どおり貧乏なため、演奏会の遠征費や習字道具の購入代金は、基本的に株などの利益をまず充てています。儲かっているときはよいのですが、現状のようにかなりの含み損を抱えて首が回らなくなると、必然的にお出かけを抑制しないといけません。

一時期は月イチどころか複数回お出かけできていたのに……(笑)今年に入ってからは寂しいかぎりです。仕事もダメだし相場もダメなら、こりゃ老後は浮浪者ですね……。

……という話はさておき、演奏会の感想です。

1曲目の「謝肉祭」は、過去にほかの指揮者でも聴く機会がありました。しかし、どうもベタ踏みリズムの舞踊曲みたいな感じになるのが常で、祭りの情景というにはほど遠い印象を受けることが多かった気がします。

ブラームス:交響曲 第1番、ドヴォルザーク:序曲「謝肉祭」

ブラームス:交響曲 第1番、ドヴォルザーク:序曲「謝肉祭」

 

すでにCDとなっている東響との演奏でもそうですが、じつに秋山さんの腕が軽く、曲をそこねません。最初はベタ踏み実演に慣れているため「早い?」と思ったりしたこともあったのですが、いまでは、あきらかにこちらが正解なのだとわかります。そして、それに食いつく楽団員の姿も素晴らしい。

2曲目のヴァイオリン協奏曲は、おそらく実演は今回がはじめてです。なかなかの名曲なのですが、実演に出会えませんでした。ドボルザークは「新世界」と「ドボコン」ばかり演奏会にかかるのですが、「スターバト・マーテル」も「レクイエム」もなかなか立派な曲です。いろいろ発掘しがいのある作曲家のひとりだと思うし、今日のヴァイオリン協奏曲を聴きながら、あらためてその意をつよくしました。

3曲目の交響曲第8番も、最後に実演を聴いて10年とは言わない気がします。「新世界から」は、さすがアメリカ滞在中の作品だけあって妙な垢抜け感があり、有名どころながら、ドボルザークの本流かと言われたら、さすがに考えてしまう曲です。赤貧は中学か高校のころ、最初に「新世界」でドボルザークの名を知ったため、第8番をはじめて聴いたとき、なんと泥臭い曲かと驚いたものでした。

秋山さんの手にかかると、第8番はスラブ舞曲集の延長にある交響曲なのだということが、否応なく理解できます。それでいて、過剰な泥臭さはありません。牧歌的な優しい雰囲気に包まれながらも、洗練されています。

最後の終結のところでキリッと引き締めて終わるのも、それまでのゆったりとした流れがあってこそで、ドボルザークの最高傑作はじつは8番なのじゃないか、と聴きながら考えていました(いまさらかも知れませんが)。

秋山和慶のブラームス・ツィクルスIV - 交響曲第4番 - ハイレゾ音源配信サイト【e-onkyo music】

Brahms: Symphony No. 4 in E Minor, Op. 98 (Live)

上のリンクは一例ですが、前回の「ブラームス・チクルス」は、amazonなどでダウンロード購入が可能になりました。今回は……マイクが見当たりませんでしたし、さすがに録音の入手は無理かな?

残念だったのは、(資金面の事情により)今回の演奏会に行く決断が遅れてしまったため、座席がえらく舞台と近いところしか取れなかったことでしょうか。ちょうど指揮者の尻を見上げながら演奏を聴くことになるのですが、オケの背後の壁から舞台に沿って客席に流れてくる低音ばかりが前に押し寄せ、舞台で反射して天井から降り注ぐ中高音が非常に聴こえにくい事態におちいりました。

これが嫌で、赤貧は基本的にバルコニー席か1階席の中間か後方を選ぶようにしているのですが、今回ばかりはぎりぎりで決めたため、仕方がありません。よい演奏に出会えただけでも、感謝しないと罰があたります。

次回の秋山さん詣では、12月14日のミューザ川崎「第九」です。

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2019 | 中部フィルハーモニー交響楽団

2019年11月10日(日)15:00開演 14:15開場
会場:三井住友海上しらかわホール

三井住友海上しらかわホール

指揮:秋山和慶
ヴァイオリン:辻彩奈

ドヴォルザーク:序曲「謝肉祭」作品92(序曲3部作②)
ドヴォルザーク:ヴァイオリン協奏曲イ短調作品53
ドヴォルザーク交響曲第8番ト長調作品88
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