美風庵だより

風にちる 花のゆくえは 知らねども

聞香炉



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いつもはろうそくの火で加熱する香炉を使っているのですが、聞香炉もいちおう準備はしているのです。いまどき聞香炉で聞きたくなるような高級香木なんてまず手に入ることはないのですが、将来、どこでどうなるかはわかりません。
赤貧が10年以上、聞香炉として使っている湯呑みです。小石原焼で人間国宝となった福島善三さんの若い頃の作品です。赤い印が前にくるよう灰に筋をいれて、灰に埋けた炭の熱で、銀葉(雲母版)の上においた沈香を加熱して香りを楽しみます。加熱しすぎないため香りがよくわかることと、手動のため温度調節が簡単という側面はあるのですが、火種をおこす必要があるのが手間です。赤貧はマッチであぶって火をつけるのですが、火が炭にきちんとまわるまで、だいぶ時間がかかります。
むかしは赤貧クラスの貧乏人でも、あぶると樹脂がにじむような沈香を入手できたのですが、いまはそのような贅沢はほど遠くなりました。
いまは電気香炉というものがあります。メーカーによっては、バッテリで使えるものも売られています。しかし、値段をみると2,3万はするため、どうもひっかかるのです。湯呑み、灰押し、さじ、炭団、灰ぜんぶそろえても、安い物なら1万もあれば足ります。年に一度やるかどうかの道楽に、電気香炉なんてそんなおカネは出せません……。