美風庵だより

幻の花 散りぬ一輪 冬日の中

朝倉市甘木水町 稲荷神社

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赤貧の通勤ルート上に存在する小さいお稲荷さんです。てっきり個人的なものかと思っていたのですが、無格社として福岡県神社誌に記載されているのをみておどろきました。

御祭神はウカノミタマとされています。国語辞典をひけばわかりますが、ウカとは「食」のことです。要は「食の御魂」というわけで、稲の霊を示しているとされます。稲荷神社については、このウカノミタマ(食の御魂)を祀るものと、豊受大神トヨウケビメ)を祀るものがあるという説明を目にします。ところがこのトヨウケも「豊かな食」のことですから、おそらく同じだとみてよいでしょう。

今の食生活に慣れると、べつにご飯がなくてもうどんやラーメンを食えばよい、パンでも良いと考えがちですが、むかしは稲作ができるかどうかが、土地の価値を決める重要な点でした。むかしのひとの労働量からすると、炊いた玄米と塩だけでおおよそのカロリーと必須栄養素がとれていたという話もあります。今ではごはんだけで必須栄養素まで満たそうなんて思いもつきませんが、それだけ重要な食物だったわけです。
農耕の神様から拡大解釈され、とにかく食いっぱぐれないようにお願いをする場所になってしまっていますが、おそらくこの稲荷神社も、農耕の神様というより、商売繁盛の神様として祀られたのでしょう。

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福岡県朝倉郡地図|福岡県立図書館

大正時代の地図をみると、どうやらいまこの神社がある横に、地元を走る鉄道会社(両筑軌道)の本社事務所があったらしいのが、ひっかかる点ではあります。もしかすると、この神社の勧請元はこの鉄道会社だったのかもしれません。