美風庵だより

幻の花散りぬ一輪冬日の中

純米酒 匠の技と伝統

 

純米酒 匠の技と伝統 (角川ソフィア文庫)

純米酒 匠の技と伝統 (角川ソフィア文庫)

 

 amazonの書評で「知識は素人に毛が生えたくらい」「かなり偏見的で純米酒以外は酒ではないとすら読み取れる」「これを読んで酒蔵の人と話でもしたら笑われる」というなかなか刺激的なものがあり、逆に読んでみたくなって購入しました。

昭和15年以前は純米酒しかなかった。満州国で凍結による一升瓶の破損防止にアル添の技術が開発され、戦後、コメ不足のなか三増酒に技術が転用された。いまのコメ余りの時代こそ、原点に回帰すべき。という、至極まっとうな内容です。

ここに書かれていることはたしかに正しいと思えます。

燗をしたアル添酒のアルコール臭を酒の匂いだと子供のころは思っていましたし、純米酒をお燗してはいけない、とまことしやかに言っていた時代でもありした。
燗冷ましで香味がくずれないものは一流の酒というのも子供のころ言われていた話で、防腐剤としてサリチル酸が添加された三増酒は、燗冷ましにすると甘酸っぱくて飲めたものではありませんでした。
すでに原著から20年近く経ち、むかし話すぎる部分もあって、それがamazonの書評につながっているのは判りますが、日本酒の基本を勉強できる文献として、いまでも十分価値があると思います。
ただ、この著作で彼が目の敵にしていた現代的な醸造法が普及している現状をみると、彼の考えている日本酒と、我々が手に入れることができる日本酒は、すでに別ものなのだという事実も、アタマのどこかにいれておく必要があります。