松村かえるの「かえるのねどこ」

旧「美風庵だより」です。

順番が違うのではないか。

https://www.point-navi.soumu.go.jp/point-navi/summary/mykey
 
マイナンバーカードの普及に向けた取り組みがいろいろ行われています。
たまたまこの施策について講演を聞く機会がありました。
ただ、これは普及促進策ではないと思うのです。たとえば国保の保険証や運転免許証として使用を義務付け、ある程度の国民が所有している状態になれば、併せてポイントカードとして使え、というのも成り立つでしょう。
すでに国家公務員についてはマイナンバーカードを身分証明証として使うことになっています。地方公務員も国が法律を改正して使わせれば、それだけでも普及率はあがります。企業が身分証明証として導入する際に法人への減税をしてもよいはずです。国家運営にかかる総コスト削減を目的とすれば、りくつはたちます。
そのうえで、公共サービスや地域の商店街のポイント制度創設であれば、既にある基盤に乗れということなので、敷居は下がります。
地域の商店や料飲店は近所のひとを相手にする商売ですから、こんな大がかりなポイントカードを準備する理由がありません。スタンプカードを各店や各商工会で準備するくらいで充分です。スタンプカードの景品代や割引原資は誰かが準備しなければなりませんから、それの割り当てでも商工会で共同化すればもめるのに、ましてや地域社会や国なんてでかい単位でやられては、いったい何が起きているのかも理解できないでしょう。
図書館にしてもそうで、基本はその地公体内に住民票があるひとがお客さんですから、だれが借りたか、もし返却がなければだれに督促すべきかの結びつけ以外には使いません。磁気カードどころか、会員番号をテプラで印刷したものでもまったく問題ありません。
図書館の乱立は書店業界の衰退原因と十数年前、だいぶ言われたものです。公営無料貸本屋が隆盛すれば、お金を払って買って読むひとが減るのは当然のことでした。出版社や取次業は書店業界と共倒れするわけにはいきませんから、図書館の指定管理者として食い込むことを目指すようになります。図書館流通センターの設立経緯と設立時の株主構成、過去の負債を一掃した過程をみればわかることです。悪く言えば、図書館の乱立が、地公体が公費でお買い上げをしてくれる、書店よりも確実に稼げる販路を提供しています。
つまり、書店からみれば上流は同じでも商売敵なわけです。図書館で貯めたポイントのぶん、あとで支払われれるとはいえ一時的に現金は入りません。クレジット会社との提携を零細商店が嫌がるのは、掛け売りとなってすぐに現金が入らないことと、手数料を取られることが理由です。ポイントカードや商品券でも同じこと。積極的に扱いたくない代物です。
マイナンバーカード普及のため、いちばん取り組みたくない・取り組むことに利点がないひとたちにまずなにかやれ、というのは異様すぎる感じがします。
公共サービス合理化の切り札として導入するという話だったはずで、住民相手の講演会で国税庁のかたが「人口減少社会でいまの公務員、地方公務員ふくめて体制を維持できるか。それはまず無理だと思う。合理化のために必要な手段だと理解してほしい」と訴えていました。言われればそのとおりですね。
まずはそこからはじめないとどうも論点も焦点もぼやけておかしくなっている気がします。国のお役所も縦割りで互いの成果を競争するばかりでは、困ります。