松村かえるの「かえるのねどこ」

旧「美風庵だより」です。

ひと昔まえの或る映画

張込み―傑作短編集(五)―

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<あの頃映画> 鬼畜 [DVD]

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千栗八幡宮の境内で親子楠を眺めながら展望所で休憩していたところ、ふと松本清張原作の映画を思い出しました。
どこにどう脈絡があるのか自分でもまったくわかりません。もしかすると、子供3人が遊んでいる姿と、話しかけてきた男児の声で、ふと思い出したのかもしれません。
それは「鬼畜」という映画でした。正妻とのあいだに子供がいない印刷会社の社長が愛人をこさえ、愛人との間には3人の子供ができます。最初はばれずにうまくやっていたのですが、印刷工場が火事になり経営が悪化、愛人に渡すおかねに困るようになってしまいます。愛人は生活費をくれない社長に愛想をつかし、社長の家に子どもを押しつけてしまいます。
その後の展開はgoogle先生で検索してもらえばよいのですが、後年、この内容が松本清張が別件で取材したときに知った実話に基づく、という話を聞いてぞっとしたことがあります。実際は、印刷会社の社長ではなく骨董店の店主であり、店主と正妻が逮捕され、子を殺めた店主は獄中で発狂して亡くなったとのこと。
かりにあの映画がそういう終わりかたなら、悲惨な話で終わったかもしれません。
あらすじを調べてもらえばわかりますが、映画の結末は違います。
テレビ放映されたとき「子供があんなこと言うか。嘘くさい」と家族が言ったのを覚えていますが、では実話どおりに終わったら、果たして名作になったかな、という気もします。
なかなか難しいところではあるのですが。