松村かえるの「かえるのねどこ」

旧「美風庵だより」です。

「伏見稲荷の暗号 秦氏の謎」

伏見稲荷の暗号 秦氏の謎

伏見稲荷の暗号 秦氏の謎

 

 言いたいことはいろいろとあるのだと思いますが、資料と主張の書き分けが判りにくく、しかも傍証が多いため、どこが結論なのかが判りにくい本です。
様々な知識があるのは判るし、それぞれが重要なヒントなのも判りますが、題名の「暗号」とはなんなのかが非常にわかりにくい。どうも、現在の状況と創立当初の状況が違うこと、途中で様々な宗教などの影響をうけて変化し続けてきたことを、暗号という言葉にこめているっぽいのですが、神社もお寺もむかしから今の姿だったわけではないのは、ある程度歴史をやれば周知のことです。出雲大社熱田神宮みたいな超メジャー級の祭神の変遷については、wikiでも読めばすぐわかります。
タリバンを笑えない神仏分離・文化破壊政策を明治初期にやらかした国です。赤貧を含めて、私たちは自分の足が向くところに手をあわせに行く、自分の感覚を頼って信仰をするしか、方法がないのです。
ただ、こうやって我々の信仰がいかにあいまいなものであったかを知ることは、これはこれで重要なことではあります。どことなく書き散らかし感はありますが、なにかの結論を教えてもらおうとするのではなく、知識をいただくには、よい本です。