美風庵だより

幻の花 散りぬ一輪 冬日の中

ヴェルディ「レクイエム」

 

ヴェルディ:レクイエム

ヴェルディ:レクイエム

 

 1995年の録音です。朝比奈さんと大フィルらしい演奏ですし、フェスティバルホールで聴いているかのような録音に懐かしさすら覚えます。
ヴェルディのレクイエムはなんだかんだ言って派手さのなかに祈りがある、相反するものを浪花節的な要素で統合しなければならないむつかしい曲です。楽譜はわかりやすいですが、それ以上のなにかがあります。
個人的に好きなのは、カラヤンベルリンフィルによる演奏ですが、この朝比奈さんと大フィルもときおり引っ張り出して聴きたくなる演奏です。ヴェルディに関しては、歌がないとどうにもなりません。泣き叫ぶとかなにもかも諦めたあとにしんみり歌う曲ではないのです。人生をぜんぶうけとめたドラマでなくてはなりません。朝比奈さんは淡々としていながら、その重要なところを理解している気がします。演奏そのものはベルリンフィルに及びませんし、フェスティバルホールの音響もたいしたことはありませんが、中身が匹敵するのは、その部分への理解があるからだとおもいます。